実践!社長の財務
役員報酬の取り方を考える【実践!社長の財務】第537号
2014.02.17
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
いよいよ確定申告が始まる時期ですが、最近はあまりそういう感じがしなくなりましたね。電子申告が90%以上ですから、いつから確定申告、という感じがなくなったのでしょう。
とは言え、これから1カ月、最も充実した季節になってきそうです。皆様も早目に、申告終わらせましょうね!
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
役員報酬の取り方を考える
節税という言葉は、経営者の方は好きだと思いますが、私はあまり好きではありません。
税金を節約する、というのはどうもおかしな気がするし、それだけを目的にしたように思えるからです。
そのためにやることも、本来であればやらなくてはいけないこと、考えなくてはいけないことを、やっているだけ、というのが多いのです。
ですから、節税というよりは、やるべきことをきちんとやってムダな税金を払わない、ということです。
これは、経営者としても、税理士としても、当たり前にしっかりやらなくてはいけないことです。
たとえば、役員報酬の取り方です。
役員報酬は、会社法の創設以来、税務的にも厳しくなって、その取り方については、十分に注意をする必要があります。
原則として、一度決めた役員報酬は、その期を通して変えてはいけないことになっています。
もちろん、私企業であれば、自由に変えても構いませんが、損金不算入(税務上の経費にならない)部分が出てきてしまいます。
それではムダな税金を払うことになりますから、実質的には変えてはいけない、と同じことです。
役員報酬は、新しい期が始まってから、3カ月以内に新年度の報酬を決め、ここで決めた額を1年間取っていくことが原則になります。
一度決めたら変えられないわけですから、その期の業績などを見通して、適切な額を決めなければなりません。
役員報酬が多過ぎれば、ヘタすると赤字になってしまうかも知れません。
反対に少な過ぎれば、会社に大きな利益が出て、税金を払い過ぎてしまうかも知れません。
適正な役員報酬を決めるには、しっかりと年度計画を立てないといけないですね。
また、しっかりと年度計画を期の始まる前に立てたのであれば、期の初めから、新しい役員報酬にしたいところです。
ところが、通常の場合は、定時株主総会およびその後の取締役会で、新年度の報酬を決めるため、2カ月後、3カ月後に改定することになります。
ただ、小さい会社であれば、いつでも株主総会は開くことができるでしょうから、期の初めに臨時株主総会などを開いて、そこで、役員報酬を決めてしまうこともできるのです。
そうすれば、その期は1年間毎月同じ額の役員報酬を取ることができて、役員報酬を上げる場合には、それだけでもその期の利益に対する税金をセーブすることができるでしょう。
また、役員賞与は損金にすることはできませんが、事前の届出によって、役員賞与的なものを取ることはできます。
「事前確定届出給与」と言って、これも比較的新しい制度です。
あらかじめ、税務署に、支給する役員名、支給時期、支給金額を決めることによって、月額報酬以外に、臨時的な役員報酬を取ることができます。
今期の業績が良かったから、役員報酬を増やしたい、といっても途中ではできません。
このような場合には、今期の業績を勘案して「事前確定届出」をすれば、翌期に役員賞与的な臨時給与を取ることができます。
残念がら、業績の上がった期の損金にはできませんが、支払った期の損金には計上することができるのです。
これなども、活用すると役員に喜ばれる制度ではないでしょうか?
その他にも、上げ下げできる要件をよく理解しておくことで、税務的にも問題のないように、役員報酬を取るようにしておくことが大事です。
せっかく頑張った利益、報酬に、ムダな税金がかけられることほど、ばからしいものはないですね。
編集後記
先日は、久しぶりに愛車に乗ろうとしましたが、パワステが効かない状態になっていました。パワステがないとハンドルがすごく重いんですね。ビックリしました。
危ないので、運転するのをやめて、懇意のディーラーさんに見てもらいましたが、どうもバッテリーが弱くなっていたのが原因のようでした。十分に充電したらパワステも戻りました。こんなこともあるんですね。もっと車に乗らないといけないですね...。
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