実践!社長の財務
費用収益の一対一対応の原則【実践!社長の財務】第326号
2010.02.01
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
今日から2月ですね。いよいよ日航CEOに稲盛和夫氏が就任されます。
昨年の11月23日から、この稲盛和夫氏の「実学」を取り上げて勉強していますが、急転直下まさか稲盛氏が日航CEOに指名されるなどとは夢にも思いませんでしたね...
一気に時の人になってしまいました。
昨日本屋に行ったら、稲盛氏の本が平積みでズラーッと並んでいました。この「実学」の単行本も平積みになっています。2店行きましたが、両店ともそうです。
もう10年以上も前の本なのに、ビックリです。
新聞にも稲盛氏の本の広告が、稲盛氏の写真入りで、大きく連日出ていますね。
出版社の便乗商法...という気がしないでもありませんが、内容のいい本ですので、多くの人が読んでくれるのはいいことだと思います。
いずれにせよ、稲盛和夫氏であれば、必ずやってくれると思います。
是非、がんばっていただきたい、そして健康には十分ご留意いただきたいなと思います。
ということで、本日も、実践!社長の財務いってみましょう!
費用収益の一対一対応の原則
稲盛和夫の実学における、一対一対応の原則とは、様々なものに適用されます。
まず初めに、モノと伝票の一対一対応の原則を説明しました。
モノが動くときには、必ず伝票が一対一で付いていなければならない、ということです。
そして次に先週お話した、売掛金の消し込みにおける一対一対応の原則です。売掛金の入金があった際には、どの商品のいつの売上が入金になったのか、一対一で対応していなければならない、ということでした。
そして、本日の費用収益の計上における、一対一対応の原則です。
考えるに、この一対一対応の原則というのは、複式簿記の考え方に通ずるところがあるような気がします。
複式簿記は、何らかの取引があったときに、必ず借方・貸方の両方に科目と金額を立てて処理をしていきます。
いわば、原因と結果を明確に結びつけて処理をする、ということです。たとえば、商品を売った結果、お金が増えた、という仕訳は、次のように行ないます。
(借方)現 金 1,000円 (貸方)売上高 1,000円
複式簿記は、まさに一対一対応で処理されるのです。
これですべての複雑な経済活動を、数字に置き換えていくことができるのです。しかもシンプルに、わかりやすく。
話が脱線してしまいましたが、一対一対応は、ビジネス特に管理をする面においては、何事においても鉄則なのかもしれませんね。
常に一対一対応をする、という考えを持ってことにあたれば、様々な管理は、それこそすばらしくきちんとした管理になるのではないでしょうか?
ところで、今日の本題の費用収益対応の一対一の原則ですが、これは、会計にも「費用収益対応の原則」というものがあるように、費用収益計上の鉄則となっています。
特に売上と、売上原価(仕入や製造原価)の関係はそうです。
すなわち、ある売上を上げるためにかかる原価や費用は、その売上を計上する時と同時に計上しなければならない、ということです。
売上と原価は、ひも付き、一対一対応で計上する、そうしないと
売上だけ上がって原価が上がっていない → 利益が過大になる売上が上がっていないのに原価が上がっている→ 損が過大になる
ということになってしまいます。
これでは、いくら損益計算書を一生懸命に作っても、まったく意味のない損益が計算されてしまいます。
もし、この損益を見て間違った判断を下してしまうようなことがあれば、意味がないどころではありません。会社に大きな損害を与えてしまうかも知れません。
企業が大きくなり、取引が複雑になればなるほど、この費用収益の一対一対応の原則は重要性を増してきます。小さな間違いの積み重ねが大きな金額になり、それが継続することにより、会社の発展の大きな障害にもなりかねません。
この原価、費用は、どの売上いつの売上と結びつくのか?この売上に対する原価や費用は、全部上がっているのか?
このようなことを常に考えながら、会計処理をしていくことが大事です。
また、経営者・管理者においては、売上と費用の対応がきちんとできているのか、もれがないか、ずれがないか、常にそういった観点で、損益計算書を見ていただければと思います。
編集後記
旧暦では節分からが、新しい年になるそうですね。
今年の運勢が良いといわれた人、今週からが新年で、これからドンドン良くなりますよ!
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