実践!社長の財務
不況の時にどう対処するか?【実践!社長の財務】第268号
2008.12.22
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
国家の予算案が出ていますね。もの凄い金額になりそうです。
こういう時期ですから、財政出動も必要ですのである程度の理解はできます。
消費税の増税も必要だと思います。
しかし、忘れて欲しくないのは特殊法人なども含めた行政改革ですね。
これだけはきちんとやってもらい、無駄な支出、不必要な支出は
断固として減らして欲しいですね。これをやらない限り、消費税の増税は、心から納得はできないでしょう。
民間の会社の場合は、今日の本文に書いてますように、まずは徹底的な経費節減から入るのですから...
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう。
不況の時にどう対処するか?
不況、不況とあまり言っているのも、決して良くはないのですが、現実、回りの中小企業を見ると、本当に厳しい状況になっています。
不動産・建設業は、不況の発端ですので、言うまでもありません。
まだまだ、不動産・建設と言っただけで融資は降りないは、カードローンすら断られてしまいます。
製造業も、大メーカーの減産の影響をもろに受けます。
中小の下請けは、さらに厳しく、元請メーカーに在庫がある分、減産以上に、受注が減ってくる、という厳しい状態にあります。
このような状況下で、不況ムードが伝わってきますので、消費者の財布の紐もしまり、小売店や飲食業なども厳しくなってますね。
そんな中、どんな業種がいいのだろうと、見回してみると、たとえば、塾などはあまり影響を受けていないですね。
さらには、アニメやちょっとした娯楽関係、医療や介護なども不況だから落ちている、ということはあまりないようです。
そうですね。子供や教育関連、そして不況だろうが何だろうが、生活に最低限必要なもの、というものは、あまり落ちることはないということでしょう。
本当に、必要なものを扱っている業種は強い、ということですね。
ちょっとした贅沢や、なくても大丈夫、というような商品・サービスは、不況になるとカットされやすい、落ち込みやすい、ということがいえると思います。
その点も考えて、事業内容を構築しておくことも、考えておくと良いかも知れません。
ところで、このような不況で業績が落ち込み、赤字になる、資金繰りが厳しくなっている時は、どうしたらいいのか?
まずやらなければいけないのは、原価や経費を徹底的に節減することですね。
収入が減るのですから、出費も減らしていかなければ、即赤字、資金難になってしまいます。
これは、社員全員の知恵をしぼってやるべきことです。
最も大きい経費である、人件費を節減する、リストラするなんていう動きが大きく報じられていますが、これは最終手段でしょうね。
安易にやるべきではないと思います。
ましてや臨時雇いの人を切って、寮もすぐに出て行け、なんて報道がありますが、もの凄く冷たい会社だと思いますね。
後に入る人はいないのでしょうから、住む場所くらいは猶予を持って提供してあげればいいのに...と思います。
人件費の削減に関しては、リストラよりも、全員の給与の一律カットの方が、まだいいと思います。
皆で協力して、この苦境を乗り切ろうと、一定期間給与を皆でカットする、そして全社一丸で頑張る、という方が会社の力になるのではないでしょうか?
先週行った当社の顧問先も、いい会社なのですが、この不況で売上が急激にダウンし、絶対に赤字にはしない、という社長の強い意志の元、断腸の思いで給与カットをすることになりました。
もちろん、社長以下役員が率先して、30%~50%の給与ダウンをします。
そして、社員にも一律10%のダウンをお願いしました。
管理部門から、営業部門への人事異動もありましたが、リストラは一切なしです。
皆の士気はどうかはわかりませんが、決して悪い雰囲気ではなかったです。
伸びている時もいい会社だと思いましたが、苦境の時も、いい会社だな、と思います。
きっと復活してくれることでしょう。
そして、次には全員営業です。
先ほどの会社もそうですが、好調の時に安易に膨らんだ管理部門の社員を、営業や新規事業部門に回したり、全員で営業に回ることが大事です。
営業というと、やみくもに営業しても・・・と思うかも知れませんが、私は「御用聞き営業」でもいいと思います。
今までお客様と密接な信頼関係があれば、「○○のようなことで、お役に立てることはないでしょうか?」というような、ちょっとした提案、御用聞きをしてくることでいいと思います。
社員全員で危機感を共有して、営業すること、これが会社全体をプラスの方向に向かわせていくことになると思います。
長くなりましたが、あとは、経営の原点に帰ることが大事だと、これは常に思います。
自社は、お客様に、世の中に何を提供するのか、どのような使命を持っているのか、これを追求していくことです。
そのためにやるべきことを、不況の時に時間があるのなら、それを準備していく、より深めていくことを考え、強い意志で実行していきます。
この不況のときこそ、自社の理念に帰った経営が重要になるのではないでしょうか?
是非、年末年始、あらためて自社の「理念に沿った経営、そのためにやるべきこと」を考えてみてはいかがでしょうか。
編集後記
今年、仕事をするのも、残り1週間程度ですね。
考えてみれば、月末に1週間くらい休む、という違いはあっても同じ月末なのですが、年末というのはまったく気分が変わってくる、今年の総決算をしないと、と思ってくるのは不思議な感じです。
そのようなけじめがないと、人間、惰性で流れていってしまうのでしょうね。その意味で年末、という行事は結構大事なことでは?などと思います。
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