実践!社長の財務
生産性を高めよう!【実践!社長の財務】第242号
2008.06.23
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
先週、17日に国税庁が2007年度査察白書を公表しました。
それによると、告発件数の多かった業種・取引は、「商品・株式取引」、「鉱物、金属材料卸」、「人材派遣業」、「不動産業」という順になっています。
「商品・株式取引」は、よく言われている外国為替証拠金取引(FX取引)による利益の除外が、多いようです。
また、架空の輸出免税売上とそれに見合う架空の課税仕入の計上、すなわち、不正な消費税の還付を受けているケースも多く指摘されています。
さらに「人材派遣業」においては、、本来課税仕入に該当しない人件費を課税仕入となる外注費に科目を仮装することなどして、やはり消費税を不当に減らす脱税が目立っているとのこと。
今年の査察結果では、法人税の脱税額が減り、消費税や相続税の脱税が増えているのが目立ちますね。8月後半からの税務調査は、消費税などについて、もっと厳しく見てくるかも知れません。
もっと詳しく査察白書の内容を知りたい方、下記国税庁サイトにアクセスしてみてください。
⇒ http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2008/sasatsu/index.htm
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
生産性を高めよう!
先週、経常利益率は10%は、どんな業種でも目指して欲しい、ということを書きました。
これを追求することにより、結果的に自己資本比率を上げていくことを目指しているからです。
そして、自己資本比率を上げることが、企業を強くし、継続する企業を作っていくことにつながるのです。
すべて、自己資本比率を上げるには? という発想からここまできています。
(どうして、現在の話しになっているのかを、自分で整理する意味も含めて確認です。自分でわからなくなってしまうので...苦笑)
そこで、さらに突っ込んで、経常利益率10%を上げるためには、どのような状況になればよいのか、考えてみます。
経常利益率10%は、やはり一般的には、非常に高い利益率です。
この数字をたたき出すには...多くの社員を抱えている会社であれば、一人ひとりの生産性が高くなければ、これを達成することはできません。
先週もあるセミナー(編集後記の)で講師が言っていましたが、日本の企業の生産性は、先進諸国の中ではダントツに最下位であると...生産性がいいのは、製造業だけであり、ホワイトカラーの生産性は非常に悪い...というようなお話でした。
では、財務でいう生産性は、どこに現れてくるのでしょうか?
これは「労働生産性」という指標で表されています。
労働生産性=1人あたりの付加価値
=付加価値÷社員数
ということになります。
付加価値は、売上高から外部購入費用を差し引いたものですが、一般的には「粗利益」を付加価値と考えていいと思います。(製造業は、若干違いますが)
すなわち、1人あたりの粗利益の額 が生産性を表すわけですね。
まずは、この数字を高めていくことが、経常利益率10%への道につながっていきます。
御社の 生産性=1人あたりの粗利益の額 は、いくらになっているでしょうか?簡単ですので、計算してみてください。
粗利益÷平均社員数 です。
社員数には常勤役員や、アルバイト・パートの社員換算数を含めてください。
そして、その生産性は、平均人件費の何倍になっているでしょうか?
よく「給料の3倍を稼げ、そうなって初めて1人前だ..」みたいなことを言われます。
これは、正に的を得た数値だと思いますね。
やはり営業マンであれば、給料の3倍は稼いで欲しいところです。
給料以外に、法定福利費や福利厚生費などもありますし、退職金などにも備えておかなければなりません。
さらに、間接人員の人件費分も、営業マン=直接人員には稼いでもらわなければいけません。
営業マンが3倍稼いではじめて、全体の人件費の倍くらいの粗利益になるのです。
すなわち、粗利益/人件費=2倍 という状況になるわけですね。
※この人件費には、法定福利費(社保会社負担分)や福利厚生費退職金掛金、そして間接部門の人件費も含まれる。
やはり、これが最低ラインでは、ないでしょうか?
すなわち、人件費は粗利の50%、ということです。
ただし、商品がない、サービス業、コンサル業などは、人件費の割合は、60%からヘタすると70%位いくこともありますね。
これは、業種による要因も多いでしょう。
この場合は、他の経費を極力減らすことです。
・・・ちょっと今日は中途半端ですが、この辺で終わります。続きはまた、来週書きたいと思います。
編集後記
先週は、以前にこのメルマガでも告知した「御社の営業がダメな理由」の著者、藤本篤志氏による講演会を、我が「東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部」(TMBC)で行ないました。
通常40人くらい出席のTMBCが、何とその日は83人もの参加がありました。さすが、ベストセラー著者の藤本氏ですね。集客力が違います。
とは言ってもそれ程、宣伝したわけではないのですが、皆様の口コミによるものです。
このメルマガの読者の皆様には、いつでもTMBC開放しております。オブザーバーとして是非一度ご参加ください。
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