実践!社長の財務
自己資本比率追求型経営2【実践!社長の財務】第239号
2008.06.02
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
4月末の税制改正法案の成立によって、5月より「ふるさと納税」ができるようになっていますね。
皆様もご存知かと思いますが、ふるさと納税は、自分のふるさとなど任意の地方自治体に寄付することにより、5,000円を超える部分の金額が、来年度の住民税から控除される、ということです。
寄付をすること=納税をすること とほとんど同じ、ということですね。
ただし、上限は自分の住民税の10%です。
それ以上寄付しても、住民税から引いてくれませんので、ご注意を。
ちょうど今頃、皆さんのところに、特別徴収などの住民税の案内が来ている頃ですね(特別徴収は会社に来ますので、経理の人からもらってくださいね。)
是非、今年は「ふるさと納税」のためにも、自分の住民税の額を確認しましょう。
その10%まで、「ふるさと納税」することができるのですよ。
せっかくの権利ですから、がんばっている地方に、寄付してみませんか?
私も考えてみようっと。
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
自己資本比率追求型経営2
自己資本を増やすには、増資をするか、利益を内部留保として貯めていくか、2つの方法があることは、先週お話したとおりです。
では、自己資本比率を上げるには、どのような方法があるのでしょうか?
これは、先週もあげた次の計算式を見ていただければ、わかると思います。
自己資本比率 =自己資本(純資産の部合計)/総資本(負債・純資産合計)
すなわち、自己資本比率を上げるには、
・分子の自己資本を増やすか、
・分母の総資本を減らすか
いずれかの方法しかない、ということです。
分子の自己資本を増やす話は、既に先週話したとおりです。
では、分母の総資本を減らす、とはどういうことでしょうか?
総資本は、負債と純資産の合計(B/Sの右側)であるとともに、資産の部の合計(B/Sの左側)でもあります。
そこで、総資本を減らすとは、たとえば遊休固定資産を売却して、その売却代金で借入金を返す、というようなことです。
資産も減り、負債も減ることになり、総資本が減ることになります。
このように資産をスリム化するような、財務のリストラを行なうことにより総資本は減っていくのです。
その結果、自己資本比率が高まることになります。
これが、自己資本比率を高めるもう1つの方法、ということですね。
ところで、なぜ、自己資本比率が、それほど重要な指標なのでしょうか?
自己資本比率を上げるには、増資を除けば、
1.利益を上げ、これを内部留保として蓄積していく
2.資産のスリム化をはかり、財務リストラを行なっていく
の2つに集約されます。
1.が、損益計算書(P/L)を良くすることであり、
2.は、貸借対照表(B/S)を良くすることです。
この2つの財務諸表を良くしていくことの結果が、自己資本比率のアップという形で表れるのです。言い換えれば、
1.は、高収益経営であり、
2.は、筋肉質経営を、目指すことなのです。
1つの指標がこのように、B/Sも、P/Lも良くした結果、その数値が上がってくる。
ここに、自己資本比率が、企業の総合力を表す=指標とする価値が高い、と言えるのではないでしょうか?
しかも、これは、経営の本筋を追求する行為の結果ですから、より自己資本比率のアップを追求することに、意義があるのです。
さらに、私がもう1つ重要と思うのは、
1.の内部留保される利益とは、税引き後の利益である、ということです。
税金を払わなければ、内部留保を蓄積することはできないのです。
なぜ、それが重要かと言えば、税金を払うということは、資金繰りの問題を解決しなければいけないからです。
利益が出たからといって、その利益分がキャッシュで残っているということは、通常はあり得ません。
なぜならば、その儲かった利益は、次の売上のための在庫に投資していたり、あるいはまだ回収していない売掛金であったり、さらには、研究開発や設備投資に向かっているかも知れません。
企業というのは常に拡大再生産をしていくものですから、お金はなかなか留まってはいてくれないのです。
このような資金繰りの問題を乗り越えて、税金を払い、内部留保をしていく、この努力が大事なのです。貴重なのです。
ですから、自己資本比率が高まった、ということは、この努力をした結果ということができるのです。
だからこそ、自己資本比率を高めたという事実は重要なのですね。
編集後記
今週は、500人規模の大きなイベントをやります。
私も所属するある会でやるのですが、準備期間1年以上・・・ようやく今週で終わるかと思うと、ちょっと感無量ですね。
まあ、こんな会です。→ http://www.sp-sb.net/index.php
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