実践!社長の財務
会計と税法って何が違うの?【実践!社長の財務】第226号
2008.03.03
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
いよいよ3月に入りましたね。
3/1からは、「労働契約法」というものが施行されています。
これは、労働基準法とは別に、また新たに作られた法律です。
何を目的にするのかと言うと、「企業と従業員の間の基本的なルールを明確にする」ということです。
具体的には、「就業規則を周知徹底させる」ということです。
企業は、就業規則を作っただけではだめで、それを周知徹底させることが必要である、ということですね。
あとで、労働紛争が起こった場合に、従業員が就業規則を知らなかった、ということであると、企業側が不利になってしまいます。
一般のひな型で作った、お飾りの就業規則が多いと思いますが、今後はそれでは、問題がありますね。
これを機に、御社の就業規則を是非見直し、再度従業員に説明するなどした方が良いのではないでしょうか?
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
会計と税法って何が違うの?
先週、リース取引について、会計と税法では処理が違う、というような話をしました。
会計と税法は違う、と言われても、経理や財務の担当の方はわかっても、経営者や他の職種の方は、会計と税法って、そもそも何が違うの?と思うかも知れませんね?
そこで、ちょっとその話を補足します。
会計、会計と言っていますが、正確には「会計基準」のことです。
税法は、主として「法人税法」ですね。
この「会計基準」は、企業が行なうべき会計処理の方法を定めたものですが、必ずしもすべての会社に強制適用されるものではありません。
(会計基準は、民間主体の企業会計基準委員会などが定めるもので、法律ではありません)
この「会計基準」が強制適用されるのは、監査法人の監査を受ける企業、その子会社・関連会社、これから上場を目指そう、というような企業です。
これらの企業は、会計基準にしたがった会計処理をしていなければ、監査で適正意見をもらえないわけです。
ですから、強制になるわけですね。
したがって、それ以外の企業、特に中小企業ではこの会計基準に必ずしも従わなくてもいいのです。
この基準に沿ってやるのは、かなりハードルが高いこともあります。
退職給付会計や今回のリース会計も、正式にやろうとすると、かなり煩雑になってきます。
では、中小企業では会計はまったく自由なやり方をしていいのか、というと、決してそうではありませんね。
最終ラインとして、法人税法というしばりが出てきます。
たとえば、「減価償却費はこの金額までですよ」とか、「債務の計上は確定主義ですよ」などと、税法の歯止めがあります。
中小企業は、最低限この税法だけを守っていれば、何とか会計をやっていくことはできるのです。
とは言え、昨今「中小企業の会計に関する指針」などもできており、中小企業といえども、正しい会計をしていくことが、求められる状況になってきています。(財務の信頼性向上のため)
したがって、できるだけ会計基準にそうような会計処理をしていくことが、大事になってきています。
決算書までは会計基準で作成し、会計と税法の違うところは、税務申告書の中で調整していく、そのような処理が増えていくわけですね。
会計は、財務諸表の健全性を目指しています。
税法は、税金のもとになる所得金額の適正性を目指しています。
目的が違うので、会計処理に対する考え方も違ってくるのです。
中小企業も今までは、税法中心でしたが、やはり会社を良くしていくためには、会計基準の考え方、処理方法を、
自社の実態が最も正しく表れるように、積極的に取り入れていくべきだと思っています。
編集後記
3月に入り、当社も最大の繁忙期になりますが、今年は去年に比べると不動産関連の申告(譲渡や取得)が少なくなっていますね。
2割減の感じです。世間の様子からもどうも不動産市況は悪いようで、動きも少ないみたいですね...
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