実践!事業承継・自社株対策
贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予への切り替え【実践!事業承継・自社株対策】第26号
2019.11.01
事業承継税制を使い、贈与税の納税猶予を受けていた場合に、贈与した先代経営者が亡くなった場合は、どうなるのでしょうか?
この場合は、後継者の贈与税が免除された上で、その株式は、相続または遺贈により取得したものとされます。
そうなると、その贈与を受けていた株式は相続税の対象になるのですが、ここでもまた、事業承継税制により相続税の納税猶予を受けることができます。
そのためには、贈与税の納税猶予から相続税への納税猶予への「切替確認」を受ける必要があります。
切替確認とは、次の要件を満たしてしていることにつき、都道府県知事の確認を受けることです。
1.風俗営業会社に該当しないこと
2.特定特別子会社が風俗営業会社に該当しないこと
3.資産保有型会社等に該当しないこと
4.総収入金額がゼロを超えていること
5.従業員数が1人以上いること
(一定の場合には5人以上いること)
6.上場会社等に該当しないこと
7.特定特別子会社が上場会社等に該当しないこと
8.後継者が代表者であること
9.後継者の同族で過半数の株式を有していること
10.後継者が同族内で筆頭株主であること
11.後継者以外の者が黄金株を保有していないこと
6,7の要件については、経営承継期間(5年)経過後は満たす必要がありません。
また、対象会社が中小企業者であることは、求められていません。
切替確認は、先代経営者の死亡の日の翌日から8か月以内に、都道府県知事に申請する必要があります。
また、その贈与をした贈与者の相続税の申告期限までに、相続税の納税猶予制度の特例の適用を受ける旨を記載した相続税の申告書等を税務署へ提出する必要があります。
特例事業承継税制の期限は、令和9年12月31日までとなっていますが、特例事業承継税制により贈与税の納税猶予を受けていた場合は、その贈与者の相続開始が令和10年以降となっても、特例事業承継税制による相続税の納税猶予を受けることができます。
贈与税の納税猶予から、相続税の納税猶予に切り替わった場合、経営承継期間(5年)の扱いは、どのようになるのでしょうか。
先代経営者から最初に贈与を受けた時から、5年以内に相続が開始した時は、5年に達するまでの残りの期間が経営承継期間になります。
5年の経営承継期間経過後に相続が開始した場合は、相続税の納税猶予においては、経営承継期間はないことになります。
以上、特例事業承継税制においては、まずは贈与税で納税猶予を受けて、いずれは相続税の納税猶予に切り替えていく流れになると思います。
贈与税の納税猶予を受けた時には、その後、どのように納税猶予を継続していくか、注意しておく必要がありますね。
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