実践!社長の財務
公私混同の弊害【実践!社長の財務】第213号
2007.12.03
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
金融一体課税の概要が見えてきましたね。
といっても、いろいろな思惑がからんで、また複雑化しそうです...
2009年から、株式譲渡益と配当の損益通算をしようというのが、まず第1段階です。
その後、2010年以降に利子もその通算の対象に含めていこう、ということですね。
ここまではいいのですが、問題は税率です。
現在、上場株の譲渡益や配当は、本則の20%が10%に軽減されています。(上場株以外は、20%です!)
本来であれば、税率は本則の20%に戻した上で、一体課税をすべきなのですが、これに政治的思惑がからんできます。
(例によって選挙をにらんだ、自民党の人気取り・・・?)
すなわち、譲渡益であれば、2008年末に持っている上場株については税率は10%のままでいいですよ、とか、
配当については、一定額以下は10%のままでいいですよ、
ということに、しようとしています。
さらに、10%を使ったものについては、損益通算の対象にしない、などの措置も入ります。
これに上場株以外の配当や譲渡益がからんできます。
これでまた、税額の計算は相当複雑になりますね...
税理士にとってはいい?(仕事が増えて?)のかも知れませんが、一番大変なのは、証券会社でしょうね?
当社にも証券会社の顧問先があるのですが、特定口座などまたまた大変な投資になってしまうかも知れません...
できるだけシンプルな税制を望みたいものです。
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
公私混同の弊害
『会計理念経営』10カ条の続きです。
第4条 経営者の公私混同は、やってはならない
・・・公私混同があると、経営者に迫力がなくなる
・・・公私混同の基準を厳しくすることが大事である
中小企業、特にオーナー系の企業では、公私混同が多いですね。
長年、税理士をやっていての実感です。
ただ、ひと口に公私混同と言っても、どこまでが公私混同なのか、
非常に難しいところです。
たとえば、飲食代にしても、どこまでが仕事の付き合いなのか、
どこからが個人の遊びなのか、友達付き合いなのか、趣味なのか...
正直、わかりません。
友達付き合いだとしても、そこから仕事になることも多いものです。
(実際、私もそんなことは、してきましたが...)
この判断基準は、経営者自身の「心」としか言いようがないですね。
経営者や経費を使う人の、気持ちにかかってきます。
経費だと思えば経費だし、ちょっと公私混同かなと思うと、公私混同です。
これは、自分ではわかっていると思います。
どこまでを公私混同と思うかは、人それぞれですし、経営者のレベルによるでしょう。
ただし、このレベルは同一人でも、経営者の成長度合いによって変わってきます。経営者として成長すればするほど、公私混同の基準は厳しくなってきますね。
経営者の方は、是非、自分の基準を厳しく持って、判断していただければと思います。
この判断を正常にできるようでないと、M前次官みたいになってしまいますよ...
公私混同があると、どうしても経営に迫力がなくなってきますね。
公私混同は自分の心の問題ですから、心に負い目があれば、社員や取引先に対しても、自信を持った態度で臨めなくなってしまいます。
一番怖いのは、経営者が公私混同をしているのに、それを そうは思っていない、当たり前だと思っている状態です。
社員から見れば、明らかに公私混同なのに、経営者はそうは思っていない、という状況です。
こうなると、社員は長続きしませんよね。
途中で馬鹿らしくなってしまうでしょう。
公私混同は、単に倫理上、会計理念上の問題だけではありません。
会社の成長、事業の成否が、かかっているのです。
経営者が公私混同をしている会社は、明らかに成長していないし、いつまで経っても小さい会社(組織になれない会社)です。
反面、経営者が公私混同せず、公明正大にやっている会社は、やはり伸びています。
10年単位で見れば、確実にそうですね。
小欲で、せこい経営をしていくのか、
大欲で、大義を持った経営をしていくのか、
是非、自分の心を判断基準にして、経営をしていって欲しいですね。
編集後記
実は、このメルマガが配信されている頃は、タイに行っています。めずらしく予約配信しましたが、月曜日7:00配信されているでしょうか?
また、帰ってきましたらタイの様子でも報告します。
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