実践!社長の財務
「見せかけ」は、ルール違反である【実践!社長の財務】第211号
2007.11.19
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
今年の税制改正の目玉は、減価償却制度の改正でしたが、耐用年数の見直しについては、わずか3つの資産だけが見直されたに過ぎませんでした。
その他の資産の耐用年数については、今年1年をかけて実態の調査をし、来年度の改正に盛り込むということでした。
ようやく、その作業状況の一部が見えてきました。
本日の日経新聞の一面に、耐用年数見直しの動向が載っています。
ただ、気になるのは、最初から「税収中立」を掲げていることです。
すなわち、耐用年数を短くするものがあれば、長くするものも出し、税収の変動がないようにしよう、ということです。
このような考え方では、また実態とは離れたものができ上がってしまうのではないかと、危惧します。
実務家の感覚としては、耐用年数が総じて長いものが多く、企業の財務内容の健全化のためにも、より実態を厳しく見て耐用年数は短縮していくべきだと思っています。
中立などは掲げず、是非、実態の方向でやって欲しいですね。
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
「見せかけ」は、ルール違反である
『会計理念経営』10カ条の続きです。
第2条 会計は、いかなる操作もしてはならない
・・・一度の操作は、二度・三度の操作につながっていく
・・・会計の操作は、ルール違反であることを認識する
日頃から中小企業の経営者に接していて、「数字は後から作れる。」と思っている人が多いのには、正直ビックリします。
決算の時になって、
「今年はこの位の数字にしておきたい。」
「赤字にならないようにしておいて。」
「この位の税金になるようにしたい。」
というような、数字の結論を言います。
現実の実績が見えているにもかかわらず...
これが、期首の計画についてであれば、いいです。
これから1年、その実績を上げるようにやっていけばいいのですから。
しかし、結論が見えているのに、結論を変えるというのはどういう神経なのでしょうか?
このような方は、数字はいくらでも操作できる、と思っているのですね。
いくらでも、というと言い過ぎかも知れませんが、自分の考える範囲では、可能と思っています。
でも、このようなことをして意味があるでしょうか?
確かに一時は、銀行に対して、税務署に対して、あるいは自社の資金繰りに対して、対面は保てるのかも知れません。
でも、それは「見せかけ」ですよね。
自分の都合のいいように、自社を見せかけるだけ、対面を繕うだけです。
「見せかけ」を一度やると、その「見せかけ」を維持するために、毎回、毎回「見せかけ」をしなければならなくなってきます。自分を騙さなければならなくなってきます。
これでは、何のために経営をやっているのか、わからなくなりますね。
真剣に経営をやろうと思うのであれば、真剣にお客様の役に立とうと思うのであれば、真剣に社員の幸せを願うのであれば、
こんな「見せかけ」をやることは、恥ずかしいことです。
真剣でない証拠であり、覚悟が決まっていない証拠です。
会計の操作は、賞味期限の操作などと同じような「ルール違反」であることを、是非認識して欲しいと思います。
真実の数字を直視して、その時は苦しくても、覚悟を決めてやっていけば、必ずすばらしい会社になるはずです。
編集後記
急に寒くなってきましたね。
皆様、風邪などを引かないよう、注意していきましょう!今年も残り少ないんで...
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