実践!社長の財務
資産にのせない...【実践!社長の財務】第196号
2007.08.06
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
秋に近づき少しずつ税法改正の話題も出るようになってきました。
消費税増税は、既定路線かと思っていましたが、参院選自民党の大敗でどうなるか、わからなくなってきたところもありますね。
これからの議論を注目したいと思います。
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
資産にのせない...
試算表を良くしていく、すなわち会社の財務内容を良くしていくには、まずは、「資産にのせない」ことを心がけるべきです。
もちろん、あるのに隠せ、ということではありません。
預金や在庫、貸付金など、実際にあるものは、のせなければ不正な会計処理になってしまいます。
これらは当然、のせていくことになります。
ここでいう「資産にのせない」とは、会計処理のやり方次第では、資産にのせなくていい場合は、できる限りのせない方法を採ろう、
あるいは、のせるべきでないものは、税法の規定にかかわらず、のせないようにしよう、ということです。
たとえば、
・固定資産は、税法基準の少額減価償却資産や一括償却資産を使って、できるだけ経費として処理する。(10万円、20万円、30万円基準)
・上記にあたり、固定資産はできるだけ細かい明細を取り、上記基準が適用できるように細分化する。
・固定資産の耐用年数は、できるだけ短いものを取れるように工夫する。
・特別償却(または税額控除)が、できないかを検討する。
・その資産が使われなくなった場合など、除却をきちんと行なう。
・その資産について、修繕や改良をした支出は、税法基準などを照らし合わせ、できるだけ経費として落とすようにする。
・商品などの棚卸資産は、在庫を計上するが、不良品や陳腐化したものなどは、基準を作ってできるだけ早く落とすようにする。
・有価証券は、時価等を常にチェックし、一定の基準(社内基準)を下回ったら評価減をする。
・売掛金については、こまめに回収のチェックをし、滞留をさせないように督促などをしていく。
・売掛金の滞留などが長くなってしまった場合は、貸倒引当金を積んだり、場合によっては貸倒損失とする。
・常に不要な資産はないか、減らせる資産はないかをチェックし、不要な資産は売却して現金化するか、売却不能であれば、損失で落とすことを検討する。
などなどです。
上記は固定資産が中心にはなりましたが、常に月次において資産を見て、その資産性について、検討しておくことを心がけて欲しいと思います。
なお、上記は税法で損金になるかどうかは、また別の問題です。
税法でも落とせれば一番いいのですが、場合によっては税法上は無理なこともあります。
ただ、その場合でも、「これは資産性がないので落とした方がいい」というのであれば、是非、貸借対照表から落としてください。
貸借対照表は、税法のために作るものではないからです。
貸借対照表は、会社の真の財政状態を見るものです。
税法のしばりで、資産性がないものを資産にのせておくというのは、経営を見誤ってしまう恐れがあります。
是非、実態を見て欲しいと思いますね。
税法上は、申告書で申告調整(損益計算書の利益に加算したり、減算したりすること)を行ないますので、問題はありません。
なぜ、ここまで資産を厳しく見ていくのか。
それは、強い会社・儲かる会社にするためです。
現状を正しく認識すること、厳しく見ることが、経営の改善につながり、ひいては会社を良くしていきます。
経営者は、貸借対照表や損益計算書を見て、若干資産性に欠けるものが載っていることをわかっていつつも、やはりこれらの書類の数値が頭に残ってしまうものです。
水増しされた数値が、自社の現状の数値だと頭にインプットされていってしまいます。それで、甘さが出てきてしまうんですね。
実態以上に粉飾された状態が自社の現状であると思い、余裕のある経営になってしまったりします。
本当の姿はもっと厳しい状態であるのに...
これは本当に怖いことです。経営のトップが自らの資料にだまされてしまうのですから...
だからこそ、貸借対照表は特に厳しく作って、見ておいた方がいいと思うのです。
ということで、是非「できるだけ資産にのせない」ような会計処理をしていってください。
編集後記
今週は、7~9日フルではないのですが、夏休みを取ろうと思っています。本当はじっくりと長期バカンスでもしたいのですが、私と家族の日程をすり合わせていくと...こんなところで落ち着いてしまいました。これではやはり近場くらいしかいけないですね。
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