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実践!社長の財務

間違った自己資本を見ていないか?【実践!社長の財務】第185号

間違った自己資本を見ていないか?【実践!社長の財務】第185号

2007.05.21

おはようございます。
税理士の北岡修一です。
 
今日は、所沢の方で、減価償却セミナーをやります。
それにしても、減価償却は新旧の制度が入り乱れ、ずい分複雑になってきました。これも過渡期だからしょうがないのでしょうが。

来週、再来週くらいで、減価償却の話もしていきたいと思います。

ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!

間違った自己資本を見ていないか?

ここ数回、自己資本の話をしていますが、内部留保を貯め、自己資本を増やしていくかが、いかに重要かはわかっていただけたかと思います。

ところで、自己資本を見る際に、正しくない自己資本を見ていることが、実は、多いのではないかと思います。

特に中小企業などの場合は...

自己資本=純資産は、<資産-負債>の金額として、バランスシートに計上されます。
いわゆるネットの資産です。

自己資本が正しくなるためには、上記算式どおり、資産と負債が正しくなくてはいけません。

資産、負債の金額が正しくなければ、当然、その差額としての自己資本も正しくなくなります。
当たり前の話ですが...

資産については、価値がないものは、載せない、早期に落とす、などある意味で当たり前ですので、これはこれでいいと思います。

問題は、負債がきちんと計上されているか、ということですね。

当然、借入金や買掛金、支払手形などは、主要なものですからもれなく計上されていることでしょう。

未払金、未払費用などは、概ね計上されているのでしょうが、ひょっとしたら若干の計上漏れがあるかも知れません。でも、うっかり計上していないものの類ですから、そう漏れは多くないと思います。

問題は、それ以外の負債、そう「引当金」ですね。

これが結構、計上もれになっていることが多いのです。

賞与引当金であったり、貸倒引当金、退職給付引当金です。
場合によっては、返品調整引当金や製品保証引当金などを計上する必要がある会社もあります。

将来発生する費用または損失で、当期にその原因が既に発生しているものについては、引当金を計上するのが、会計の原則です。

中小企業がこれらを計上しないのは、税法で、ほとんどが損金に認められなくなってきていることが大きな原因です。

ただし、経営のために「会計」を活用しようとするのであれば、これらの引当金は、計上しておかなければなりません。

なぜならば、経営者が間違った「自己資本」の額を見て、勘違いしてしまうからです。

「これだけ自己資本ができた。」「自己資本比率がこんなに高くなった。」と、喜んでいても、実際には引当金を考えれば、それ程高くないことが多いのです。

それによって、経営に対する考え、認識もずい分変わってくるのではないかと思います。

中小企業の場合、引当金の中で最も漏れているのは、「役員退職慰労引当金」です。

そうです。自分に対する引当金ですね。自分が退職する時にとる退職金がほとんどの会社では、計上されていません。

「そんなもの、いくら取るかはわからないよ。」という声が聞こえてきそうですが、これは立派な会社を作っていくためには計上しなければいけないことだと思います。

未来永劫継続していく会社を目指し、後継者にいずれはバトンタッチしていくのであれば、自らの退職金を計上していかないといけないと思うのです。

これを、計上してもなお、自己資本比率が高い会社を目指していけばすばらしい会社になっていくはずです。

是非、皆様の会社でも、「役員退職慰労引当金」をどうするのか、考えてみてください。
 
 

編集後記

そんなことで、土日はセミナーの準備で丸つぶれ...
せっかくのいい天気だったのに、ちょっともったいない気もしますが、納得のテキストができたので、充実の2日間でした。

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