実践!相続税対策
申告期限が過ぎてしまった場合【実践!相続税対策】第436号
2020.04.29
皆様、おはようございます。税理士の北岡修一です。
先日、相続税の申告期限が過ぎてしまったあと、相続財産である土地を売却する計画のある方が、相談にいらっしゃいました。
相続財産をざっと概算すると、基礎控除額を超えており、相続税の申告をする必要があることがわかりました。
ただし、小規模宅地等の特例や、配偶者の税額軽減を適用すれば、相続税はゼロになります。
相続人は、配偶者と子2人です。
相続税はかからないだろうと、多少知識のある知人から言われ、のんびりした家族でもあるため、遺産分割も申告もせず、ほったらかしておいたようです。
いつ亡くなったのか聞くと、ちょうど4年前とのこと。
申告期限は、亡くなってから10か月ですから、申告期限からすると、現在、3年と2カ月が経っています。
あーっ、と思いましたね。
というのも、申告期限から3年を超えてしまうと、小規模宅地等の特例や、配偶者の税額軽減が受けられなくなってしまうからです。
小規模宅地等の特例は、自宅を相続する場合、その敷地は、330m2まで80%も評価減できますから、大きいです。
配偶者の税額軽減も、配偶者が1.6億円あるいは、配偶者の法定相続分(子がいる場合1/2)の、いずれか多い金額まで相続しても、配偶者に相続税はかかりません。
これも大きいですね。
この2つの特例が使えない、とうことは、相続税額が大きく膨らんでしまう可能性があります。
もし、あと数か月早く、申告期限から3年以内に来ていただければ、遺産の分割をし、相続税の期限後申告をし、さらに、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付することによって、これらの特例の適用が受けられたのです。
小規模宅地等の特例や、配偶者の税額軽減は、基本的に、申告期限までに遺産分割をし、相続税の申告書を提出する必要があります。
申告期限までに、遺産分割がまとまらない場合は、上記の「申告期限後3年以内の分割見込書」を、申告書に添付することによって、分割後に更正の請求をすることによって、これらの特例を受けることができます。
相続税の申告を、申告期限内に行ってなかった場合は、期限後申告において、この「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付すれば、これらの特例を受けることができるのです。
上記の相談に来られた方は、残念ながら、これらの特例の適用を受けることができませんでした。
ただし、基礎控除をそれ程、大きく超えているわけではなかったので、超えた部分の10%の相続税で済みそうです。
ただし、延滞税等はかかってしまいますが。
相続税がかかるか、かからないかは、素人で判断せず、是非、早目に相談して欲しいですね。
相続税がかからない場合でも、申告が条件になることも多いのですので、下記相続クラブの無料相談や、相続税シミュレーションなどを活用していただければと思います。
編集後記
なかなか収束しないコロナウイルスですが、今週ようやく補正予算が成立して、緊急経済対策が動き出しそうです。
それにしても、遅いです。
緊急事態なのだからもう少し早く、柔軟にてきないものかと思うのですが...。とてもじれったいですね。
と言ってても始まらないので、とにかく効果のあることをやって欲しいですね。
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