実践!相続税対策
死亡保険金の非課税限度額の盲点【実践!相続税対策】第443号
2020.06.17
おはようございます。税理士の青木智美です。
今回は、死亡保険金の非課税限度額の注意点について、お話しいたします。
まずは、前提の確認ですが、被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を、被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。
ただし、死亡保険金は、一定金額まで非課税となり、その非課税限度額は、下記の算式のとおりです。
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
取得した保険金の総額が、この非課税限度額を超える場合に、その超える部分の金額が、相続税の課税の対象となります。
なお、法定相続人の数には、相続放棄をした人がいても、その人を含めて数えていいことになっています。
たとえば、夫が亡くなり、夫の保険金2,000万円を、妻と子2人が受け取った場合は、
非課税限度額 = 500万円 × 3人 = 1,500万円
となり、保険金2,000万円 - 非課税限度額1,500万円 = 500万円
が、相続税の課税の対象となります。
このように、一般的な相続においては特に間違えることがありませんが、下記のような場合には注意が必要です。
1.孫(養子の場合を除く)が保険金を受け取った場合
2.養子が3人以上いる場合
一番誤解しやすいのは、お孫さんのケースではないでしょうか。
この非課税の規定では、保険金の受取人が相続人であることを定めています。
つまり、相続人でない孫は、非課税となる金額が0円となり、全額みなし相続財産として課税されることになります。
また、先ほどの法定相続人の数の数え方とは違い、相続を放棄した人や、相続権を失った人も相続人には含まれず、非課税の適用を受けることができません。
非課税金額を計算する法定相続人の数には、含まれますが、保険金を受け取った場合の、非課税の適用は受けられない、ということですね。
孫の将来を考え保険金を孫に残し、相続税の非課税の枠を利用しようと思っていた場合、思わぬ落とし穴に落ちる可能性があります。
このように、将来を考えて相続人以外の人に、保険金を渡そうとする際には、相続税がかかる可能性も考慮に入れておく必要があることに、ご注意いただければと思います。
編集後記
コロナショック、まさかウイルスの影響で世界がこんなにも大きな影響を受けるとは誰が予想できたでしょうか。
2次補正予算が無事に決まり、本当に困窮している方にその資金が早く届くことを願うばかりです。
ただ、新宿で広がる感染にも注意したいところですが、生活と感染選択を迫られている人が多く、まだつらい状況が続きそうです。
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