実践!相続税対策
相続人が海外に居る場合どんな申告をするの?【実践!相続税対策】第454号
2020.09.02
皆様 おはようございます。
税理士の稲吉茂です。
亡くなった方は、ずっと日本に住んでいるのですが、相続人の1人が、相続開始日現在、海外在住で、その相続人が、以後も日本に戻ってくる予定がない場合の相続税申告について、考えてみたいと思います。
結構、よくあるケースです。
まず第1に、海外在住の相続人が、いつまで日本に住んでいたかを検討します。
なぜなら、相続開始日を基準にして、10年以内か、10年を超えているかで、大きく違ってくるからです。
海外在住の相続人が、日本国外へ転居した期間が、相続開始日から起算して10年以内の場合は、次のとおりになります。
その相続人が相続した、国内の財産、国外の財産のすべてを、相続財産として申告する必要があります。
その相続人が、日本国外へ転居した期間が、相続開始日から起算して10年を超えている場合は、国内の財産だけの申告でよくなります。
第2に、海外在住の相続人が、被相続人の国内財産の遺産分割協議にかかわる場合には、どのような書面が必要かを検討します。
その相続人が海外在住である限り、我が国の印鑑登録証明書を取ることができませんので、それに代わる書面が必要になってきます。
印鑑証明書に代わる書面として、「サイン証明書」あるいは「署名証明書」を、発行してもらうことになります。
サイン証明書は、自分のサインを実印の代わりに使用できるもので、現地の在外公館(大使館、領事館等)で発行してもらうものです。
発行の際、遺産分割協議書そのものを、在外公館に持参し、公館の係官の面前でサインすることで、公館が証明書を発行し、サインが本人のものであることを証明します。
次に、住民票が必要であるときは、住民票の代わりに、在留証明書を取得します。
在留証明書も、サイン証明書と同様に、現地の公館で発行してもらいます。
発行の際には、居住要件と日本国籍が必要になるので、サイン証明書と同様に、前もって確認しておくことが大切です。
以上のように、相続人が海外に住んでいる場合は、国内在住者と異なる手続きが多くあります。
相続発生から、相続税の申告期限までの期間は、10ヶ月ありますが、海外関係の手続きをしていると、あっという間に時間がたってしまうものです。
海外に相続人がいる場合は、できるだけ早めに手続きをスタートさせることが重要ですね。
編集後記
8月中旬までの猛暑と熱帯夜続きは、ほんのちょっぴり収まってきた感じもありますが、9月になってもまだまだ残暑は厳しそうです。
コロナウイルス感染対策で一日中マスクをしていると、暑さと息苦しさで体が参ってしまうかもしれません。
そんなとき、人混みを外してマスクを緩めてみてはいかがでしょうか。日常のちょっとしたことでできるリフレッシュを大事にしたいですね。
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