実践!相続税対策
資金移動をする際の注意点【実践!相続税対策】第467号
2020.12.02
おはようございます。
税理士の青木智美です。
今回は、相続税対策として、生前の間に資金移動をする場合の注意点を考えてみましょう。
たとえば、父から息子の口座に1,000万円入金した場合どうなるでしょうか。
税法上考え得る大きな論点は、次のとおりです。
その資金移動が、『息子への貸付金として、父の相続資産になる』または『息子への贈与税の対象となる』です。
このようなことが発覚し問題となるのは、多くの場合、父が亡くなった後に、相続税の調査が行われ、父と息子との間の資金移動に、指摘を受ける場合でしょう。
この時において、贈与なのか貸付金なのかを争い裁判までする場合があります。
なぜならば、贈与となった場合、時効も確かにありますが、原則的に、累進課税により最大55%の税金が課せられます。
さらに、無申告加算税15%、または過少申告加算税10%、場合によっては、重加算税35%が課せられることがあります。
このため、その1,000万円はただの貸付金であり、相続財産に加算するものではあるが、贈与ではないと主張したくなるわけです。
ただ、貸付金となるためには、貸付金であることを立証する必要があるでしょう。
どのような状況であれば貸付金といえるでしょうか?
借用証や、できれば金銭消費貸借契約書は必要でしょう。
ただし、契約書などがあれば、貸付金といえるのでしょうか?
答えは、否です。
契約書を立派に作ったけれども、一切返済も利息のやり取りもない場合、本当に貸付金と言えるか、疑問です。
このような場合は、当初より返済を予定しているものではなく、実体としては、返済する気も返済してもらうつもりもない、と考えられるからです。
そのため、資金移動の時点で、ただの贈与に過ぎないと指摘される可能性があります。
そのため、貸付金であるのならば、定期的に返済を行うことです。
返済をしていれば、贈与などあり得ないからです。
さて、最後に利息の問題ですね。こちらは次回にお話ししたいと思います。
編集後記
毎年思いますが、もう12月、早いもので年末です。
今年は、特に記憶に残る年、になりました。
きっと来年も落ち着かない年になるのでしょう。
時代の動きも早く、時代に生きることを選別されているような気分になります。
とはいえ、明るい明日を信じて時代と一緒に進めるよう努力してまいりたいと思う、そんな1年でした。
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