実践!相続税対策
相続税における葬式費用について【実践!相続税対策】第469号
2020.12.16
皆さま おはようございます。
税理士の稲吉茂です。
今回は、相続財産から控除されるる葬儀費用について、考えていきたいと思います。
葬式費用は、債務と同様に、相続財産の本体から控除できる費用です。
国税庁のホームページでは、葬式費用となるものとして、次のように例示しています。
1.葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨にかかった費用、仮葬式と本葬式を行った時には、その両方にかかった費用
2.遺体や遺骨の回送にかかった費用
3.葬式の前後に生じた費用で、通常葬式に欠かせない費用、たとえばお通夜にかかった費用
4.葬式に当たり、お寺に対し読経料などのお礼をした費用
5.死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
葬式費用に含まれないものとしては、次のように例示しています。
1.香典返しのためにかかった費用
2.墓石や墓地の買入のためにかかった費用や、墓地を借りるためにかかった費用
3.初七日や法事などのためにかかった費用
さて、私が担当した事例で、次のような費目の領収書がありました。
「戒名の切り付けおよび納骨代として」
このような場合、納骨代は葬式費用になりますが、戒名の切り付け代は、墓石の買入代金に含められるため、葬式費用から外れてしまいます。
明細書があればよいのですが、この場合は、明細書がありませんでした。
相続税の申告に際しては、葬式費用に算入する部分としない部分に分けなければなりません。
喪主を務められた相続人から聞き取り、もし分からない場合は、相続人を通じて、施工業者に確認する必要もあります。
こうなると、結構手間がかかります。
別の例では、葬儀屋さんに支払った費用で、見積り額と領収書の額が違っていた事例もありました。
この場合、喪主から内容を聞き取ったところ、初七日の法要分など、葬式費用に含められない金額はなかったので、全額を葬式費用に算入しました。
相続財産から控除できる債務、葬式費用の対象となるものは、税法や通達で、しっかりと規定がされています。
あいまいな費用があったら、領収書や請求書、明細書を保管した上で、費用の内訳を確認しておくことが大事です。
依頼するときの料金表や注文書などもあれば、そういうものも取っておくことですね。
控除できるものは、しっかり控除しましょう。
編集後記
新型コロナウイルスに振り回された2020年も残りわずかです。
メルマガを書いている現在、コロナの感染者が急増していて、昨年までのような賑やかな年末年始を過ごす、というわけには
いかなそうです。
かといって、自宅に引きこもってばかりだと運動不足になりがち。散歩などをして、体力の維持に努めたいものです。
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