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実践!相続税対策

個人の建物を法人が建て替える場合【実践!相続税対策】第472号

個人の建物を法人が建て替える場合【実践!相続税対策】第472号

2021.01.06

あけましておめでとうございます。

税理士の北岡修一です。

いつも相続税メルマガをお読みいただき、ありがとうございます。

本年も、少しでも皆様のお役に立つような記事を書いてまいる所存です。

引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

個人が所有している古いアパートを、建て替えたいが、今後は、その個人が経営する法人で建て替えて、法人でアパート経営を行っていきたい、というケースはよくあります。

この場合、そのアパートの取り壊し費用は、どちらが負担するのかということが問題になります。

建物の取り壊し費用は、当然ではありますが、その建物を所有する人が負担するのが原則です。

したがって、上記の場合は、個人が負担すべきものです。

ただ、アパートの建て替えは法人でやっていくので、取り壊し費用も、その建て替えの一環として法人で負担することも自然の流れです。

自分が経営する同族会社ですから、よくある話かと思います。

この場合は、税務的には、個人が所有する建物を無償で法人に譲渡した、と考えられます。

法人は建物を無償で譲り受けて、自社の建物を取り壊した、ということになります。

個人が無償で法人に譲渡した場合は、所得税法59条により、時価課税が適用されます。

すなわち、その建物を時価で譲渡したことになり、譲渡所得が発生することになります。

また、法人の方はその時価分の受贈益を受けたものとして、受贈益に法人税が課税されます。

ただ、建物は古家であり、すぐに取り壊されるということは、時価はほとんどない、ということにもなりますね。

後で時価がいくらなのか、ということで問題になるよりも、このような場合は、建物売買契約書を作って、個人から法人にきちんと譲渡しておいた方が、よいのではないでしょうか。

譲渡価格をいくらにするかなどは、帳簿価格なども参考にし、専門家にきちんと価格を出してもらうことが大事です。

また、建物が法人に移るということは、借地権の問題にもなります。

借地権は法人にあるのか、ないのか、そのようなことも明確にしておく必要があります。

さらには、法人が新たな建物を建てるということで、今後の土地賃貸借契約書を作成し、地代なども決めていく必要もあります。

個人と法人の土地の貸し借りについては、様々検討することがありますので、専門家である税理士に相談しながら、慎重に進めていくことが大事ですね。

編集後記

いよいよ今年もスタートしましたが、冬場というのはやはり相続が発生することが多いですね。今週も2件お伺いすることになりました。
また、最近はコロナに関連したことも起こってきています。
本当に他人事ではなく、自分事として考えていかないといけないことですね。

皆様が本年も益々健康であることを、心から祈念いたします。

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