実践!相続税対策
貸付金の利息の設定【実践!相続税対策】第473号
2021.01.13
おはようございます。
税理士の青木智美です。
前回は、たとえば父から子などに、生前に資金移動をする場合の注意点を確認しました。
契約書の作成はもとより、返済が特に重要とお伝えいたしました。
さて、今回は利息について考えていきましょう。
まず、大きな疑問として親族間でお金を貸した際に利息を取る必要があるでしょうか?
これは、本人の選択によるところでしょう。
とはいえ、無利子による場合、本来支払うべき利息が支払われなかったことにつき、利益を得た(みなし贈与)と判断されます。
つまりは、本人の選択によることができても、税法上課税のリスクがあるということです。
これは相続税基本通達9-10によるところです。
簡単に解説しますと、親族等で金銭の貸付を無利息で行った場合には、形式上貸付としているだけで、事実上は贈与であるかどうか念査を行います。
また、無利子という経済的な利益を受けたとします。
ということです。
まず、ここからわかることは、無利息貸付イコール贈与ではないということです。
念査が行われたとしても、返済等が計画通り行われ、貸付の実体があれば、贈与となることはないものと考えられます。
また、この規定には続きがあります。
その利益が少額である場合、課税上弊害がないと認められる場合には、この取り扱いをしなくてもよい、ということです。
ということは、必ずしも利息をとらないことが、課税されるということではありません。
『利益が少額』については、10万円のお金を貸して利息をとらなくてもまず問題にはならなそうです。
課税上弊害がないと認められる場合とは、祖父母がタンス預金をしていたお金を孫に貸した場合でしょうか。
つまりは、祖父母はお金をタンスに置いていただけでそこから孫に貸しても貸さなくても消失した利益はないといえるからです。
ただ、祖父母が銀行からお金を借りて孫にそのお金を貸した場合は、課税上弊害がありそうです。
なぜならば、祖父母は銀行に利息を払っており、孫から利息をもらわなければ、損失が事実上生じているためです。
親族間だからこそ、金銭の貸し借りは日常的に発生する可能性があります。
だからこそポイントを押さえ、貸付を贈与といわれないように気をつけましょう。
編集後記
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
昨年は、変化の年とも呼ばれていますが、今年はどうなるのでしょうか?
昨年おかしかったことが、すでに日常化している気もしますが、更なる変化を求められるのでしょうか。
今年も変化を受け入れられれば、と思います。
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