実践!相続税対策
借金の肩代わりは贈与?【実践!相続税対策】第457号
2020.09.23
おはようございます。
税理士の青木智美です。
今回は、借金を肩代わりした場合の税金の取り扱いについて、紹介いたします。
現状のようなコロナ禍で、高くなった失業率を考えると、住宅ローンやカードローンなどを、払えなくなることもあり得ます。
そうなると、子を心配する親心として、子のローンを親が肩代わりすることもありそうです。
住宅ローンなどを肩代わりすると、かなり大きな金額になりますね。
このような場合、税務上はどのようになるのでしょうか?
原則としては、債務(ローン)の免除を受けた者は、その免除を受けた債務の額につき、贈与を受けたものとみなされます。
つまり、親心としてローンを肩代わりしても、贈与税が課される可能性がある、ということになります。
ただし、ローンの肩代わりをしてもらった場合でも、債務者が資力を喪失して、債務を弁済することが困難である場合において、
債務者の扶養義務者に、債務の引受けをしてもらったときは、
その債務の弁済をすることが、困難である部分の金額については、
贈与により取得したものとは、みなされないことになっています。
法律上の表現ですが、少しわかりづらいですね。
分解して検討してみましょう。
●債務者が資力を喪失して、債務を弁済することが困難である場合とは?
債務者の債務の額が、財産の価額を超えるときのように、社会通念上、債務の支払が不可能と、認められる場合をいいます。
つまり、子のローンの額が、預貯金を上回るような状況をいいます。
子に貯金があるなら、まずその貯金でローンを支払えば、親がローンを肩代わりする必要はなかった、というイメージです。
また、子がカードローンを複数抱え、返済も滞っている状態であれば、支払が不能な状況と認められそうです。
●扶養義務者とは?
夫婦、直系血族および兄弟姉妹等、をいいます。
親は直系血族に該当するため、扶養義務者になります。
●弁済をすることが、困難である部分の金額とは?
給与収入などにより、近い将来、その債務の返済にあてることができる金額を、控除した金額をいいます。
子が、給与を100万円ももらっているような場合は、返済できる金額があるようにも思います。
ただ、特に支障がない場合には、債務超過の額=「困難である部分の金額」となります。
以上より、多少支払いが苦しいからといって、安易に債務を肩代わりすると、肩代わりしてもらった人に、贈与税がかかってくる可能性がある、ということです。
特に自立している子で、ローンはあっても、別途預貯金もあるような子は、贈与とみなされる可能性が高いでしょう。
そのような場合は、是非、注意していただければと思います。
編集後記
最近の急な大雨に驚いてしまいます。
季節柄毎年あることではありますが、出かけ先で急にスコールのような雨に降られるのはいいものではありません。
また、コロナ禍のもと、これ以上災害が起きないことを祈るばかりです。
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