実践!事業承継・自社株対策
同族少数株主の株式評価【実践!事業承継・自社株対策】第34号
2021.01.28
Q:親族(甥)が経営する同族会社(非上場)の株式を、少数ですが保有しています。
この会社は、毎年高収益で、純資産も多い会社なので、贈与や相続をするときの、株価が気になっています。
毎年配当もあります。
保有する株式は3%程度ですが、株式評価はどのように行うのでしょうか?
A:非上場会社の株式=取引相場のない株式の評価は、原則的評価方式と特例的評価方式があります。
通常、同族株主が持つ株式は、原則的評価方式で評価します。
原則的評価方式には、類似業種比準方式と、純資産方式があり、この両方式の組み合わせで評価します。
どちらの方式も、利益が多く、純資産が多ければ、それを反映して、株価はかなり高くなる可能性があります。
ただし、同族株主が持つ株式でも、例外的に特例的評価方式を使える場合があります。
貴社の株主構成はわかりませんが、同族会社ということなので、親族で30%以上は保有している会社と想定します。
また、甥が経営するということで、その方が中心的な同族株主であることを想定します。
(正確には、甥とその配偶者、直系血族、兄弟姉妹、一親等の姻族などで25%以上の株式を保有している状態)
このような場合においては、中心的な同族株主ではないご質問者のような同族株主が持つ株式は、持株割合が5%未満であれば、特例的評価方式を使えることになります。
親族だからといって、皆、株価が高くなるわけではありません。
では、特例的評価方式とは、どのようなものでしょうか。
これは、配当還元方式で評価する方法です。
毎年支払われている配当を基に、株価を逆算して評価する方法です。
すなわち、利益や純資産などは関係なく、支払われている配当にだけ着目して評価するのです。
したがって、原則的評価方式に比べて、評価額は低くなることが多いです。
具体的には、次のような計算をします。
●配当還元価額 = 1株当たりの資本金等の額 × 配当率/10%
(簡略化した計算式です)
上記の計算式は、配当率を10%で割り戻して、株価を計算しています。
たとえば、1株当たり5万円の資本金の株式で、配当率が10%であれば、5万円×10%/10%=5万円 となるわけです。
10%の配当をしている会社は、1株当たりの資本金と同じ額になる、ということです。昔でいう額面評価ということですから、非常に低いわけです。
なお、配当率は2年間の平均を用い、5%未満である場合は、5%とします。
また、創業何周年などの記念配当は除きます。
ご質問者は、持株割合3%ということですから、上記の配当還元方式の評価となります。
是非、お手元の配当金の資料などから、計算してみてください。
編集後記
最近はワクチンのニュースが非常に多くなってきましたね。
ワクチン接種するしないも賛否両論ありますが、これが接種できるようになれば、かなり終わりが見えてくるような気がします。
是非、早く安全に摂取できるようになって欲しいですね!
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