実践!相続税対策
特定路線価を使わなくてはいけない土地とは?【実践!相続税対策】第484号
2021.03.31
おはようございます。
税理士の稲吉茂です。
今回のメルマガでは、特定路線価を使わなくてはいけない土地の例を紹介します。
相続税や贈与税の申告に際して、土地を評価する際に、前面道路に路線価が付されていない場合があります。
このような場合に税務署に申請して付けられる路線価を、特定路線価といいます。
今回採り上げる物件は、物件の正面の道路が行きどまりの道路で、路線価は付けられていません。
この正面の道路は、2項道路と称される、建築基準法第42条2項に規定されている道路です。
救済措置として道路とみなされた、いわゆる「みなし道路」と呼ばれるものです。
この土地は、路線価が設定されている道路から約50m離れたところにあります。
周囲に家屋があることから、固定資産税の路線価は設定されています。
このような土地を評価する場合は、路線価が設定されている道路の路線価をベースに、無道路地や旗竿地として評価する方法もあります。
ただ、あまりにもその道路までの距離が離れているため、そのような評価方法は実態に合いません。
そこで、評価する土地の地域を管轄する税務署に、特定路線価の設定を申し出るかどうかを、検討します。
今回の場合は、あまりにも路線価の設定された道路まで距離があるので、特定路線価を申請することにしました。
ただし、安易に特定路線価を申請することは、お奨めしません。
特定路線価を使わない方法で計算し、特定路線価で行った場合と比較してみる必要があります。
では、特定路線価を推定することはできるでしょうか。
固定資産税の路線価が設定されている道路ですと、特定路線価は概ね、固定資産税の路線価の比率によって類推することができます。
そのために、両方の道路の固定資産税の路線価を調べることが必要になってきます。
特定路線価は、評価する土地が、路線価の設定されていない道路のみに接する場合に、納税義務者の申出等により設定することが『できる』こととされています。
つまり、納税者側が選択する、というのが税務当局の方針です。
しかし、一度特定路線価を申請したら、必ずその特定路線価を使って評価しなくてはいけなくなります。
したがって、上記のような事前の検討が必要になってくるのです。
そのためには、評価する土地は、路線価が設定されている道路からどれほど離れているか、
対象地の正面道路はどんな種別の道路に当たるのか、市町村役場で資料を集めて検討することが必要です。
特定路線価の申請に限らず、土地の評価をする際には、慎重で綿密な検討が重要です。
編集後記
先週初め、2ヶ月半ぶりに、新型コロナウイルス感染拡大にかかる緊急事態宣言が解除されました。
とは言っても、ニュースを見る限りではコロナウイルスの新規感染者数が減っているわけでなく、むしろ増え始めているのが現状です。
飲食店の営業時間も、東京都では20時から21時へと1時間ほどの延長がされたぐらいで、本格的な営業再開にはまだまだほど遠そうです。
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