実践!事業承継・自社株対策
期限切れ欠損金【実践!事業承継・自社株対策】第55号
2021.06.24
Q:当社は現在、債務超過の状態で、借入金等返済のため、所有不動産を売却する予定です。ただ、売却益が相当見込まれる予定で、繰越欠損金を控除しても利益が残り、税金が発生してしまいます。
当社は、過去の繰越欠損金を使い切れず、切り捨てられてしまった額が多くあります。この期限切れの欠損金を使う方法もあると聞いたのですが、それはどのように行うのでしょうか?
A:期限切れ欠損金を使えるのは、会社を解散した場合の清算中の事業年度においてです。
清算中の事業年度においては、 平成22年度税制改正により、清算所得課税が廃止され、通常の所得課税が行われます。
このような場合に、残余財産がないと見込まれるにもかかわらず、資産の売却や債務免除などによる所得に課税されることを防ぐために、期限切れ欠損金の控除が認められています。
したがって、通常の事業年度において、期限切れ欠損金を使えるわけではありません。
不動産を売却し、できるだけ多くの債務を返済したいと考えるのであれば、会社を解散・清算させることも考えられます。
会社を整理した上で、心機一転やり直す、ということも考えられるのであれば、それも一考かと思います。
なお、期限切れ欠損金は、貸借対照表上の欠損金額ではなく、あくまで税務上の欠損金となります。
法人税の申告書別表5-1の、期首利益積立金額のマイナスの金額から、通常の繰越欠損金を引いたものが、期限切れ欠損金となります。
また、期限切れ欠損金を控除できるのは、残余財産がないと見込まれる場合に限られます。
それも貸借対照表上の数字ではなく、実際に財産を処分し、債務を返済して残る財産があるかどうか、ということで判断します。
以上、解散・清算も見越した上で、不動産の処分などをお考えいただければと思います。
《担当:税理士 北岡修一》
編集後記
先々週に、類似業種の1株あたりの配当や利益、純資産の発表の話をしましたが、6月17日に発表されました。
ある会社で早速株価評価したとこと、類似業種の上記数値がコロナ禍においても意外と高いため、逆に評価した会社の株価が下がりました。ちょっと意外でした。
コロナ禍においても好調な業種もあるため、今年は皆様の会社の株価もどうなるのか、是非、試算してみると良いかと思います。
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