実践!社長の財務
不動産M&A【実践!社長の財務】第923号
2021.07.12
不動産M&A、あるいは不動産MAという言葉を、聞いたことは、あるでしょうか?
最近、多くなってきた感があります。
M&Aは、会社の買収、合併などを言いますが、それに不動産がついている、というのはどういうことでしょうか。
会社が持っている不動産を売るのに、会社ごと売ってしまう、というのが不動産MAです。
もちろん、会社が不動産以外の事業を行っている場合は、会社ごと売ってしまっては困ります。
不動産を保有して、賃貸経営だけを行っている場合などに不動産MAが考えられます。
では、不動産MAは、通常の不動産売却とは、どう違うのでしょうか。
・不動産売却は、会社が不動産を売却します。
・不動産MAは、株主がその会社の株式を売却します。
売る人と、売るものが違ってきます。
では、不動産MAをやるメリットは何でしょうか。
不動産を売却した場合には、そのお金は会社に入ってきます。
それにかかる税金は、法人税ということになります。
実効税率30%~35%くらいになります。
その他にも、建物を譲渡しているので消費税がかかってきます。
不動産MAで株式を売却した場合は、株主個人にお金が入ってきます。
この場合かかる税金は、株主個人の譲渡所得として、所得税・住民税が、約20%かかってきます。
株式の譲渡なので、消費税はかかりません。
いずれの場合も、取得費を引いた利益に税金がかかってきますので、取得費によっても税額が変わってきます。
ただ、株式の譲渡所得の方が分離課税で一律約20%なので、税率は低いですね。
また、会社の不動産を売却した場合、会社は収益を上げる資産がなくなったため、解散して個人にお金を戻したいとします。
解散した場合には、残余財産の分配ということで、株主にお金を戻しますが、これは配当所得ということになります。
法人で不動産売却で法人税がかかった後、個人に戻すときに、また、税金がかかってきます。
配当所得は総合課税ですので、所得が多い人は累進税率で、高い所得税・住民税がかかってくる可能性があります。
退職金を払って残余財産を下げるなどの方法もありますが、払える金額には限度があります。
会社の不動産を売却した後、会社は必要でないというのであれば、不動産だけを売却するよりも、不動産MAの方が良いかも知れません。
また、不動産を購入する方も、不動産を購入すれば、登記料や不動産取得税がかかりますが、不動産MAによる株式の購入であれば、それらは必要なくなります。
このようなメリットがいろいろあるため、不動産MAが多くなってきています。
そのために、1社で1つの不動産を保有するように、売却しやすいようにしている事例もあります。
ただし、注意点はあくまでM&Aですので、会社に隠れた債務やリスクがないかどうか、その確認が必要になってきます。
それがデメリットとも言えますね。
編集後記
今日は、不動産M&Aの話を書きましたが、私の知り合いでM&Aなど、事業承継のサポートをしている会社があります。
その社長からセミナーの案内がありましたので、直前ですが、お知らせしたいと思います。
親身に相談に乗ってくれる方なので、M&Aなどお考えあるいは勉強したいという方がいましたら、是非、参加してみてはいかがでしょうか?
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