実践!相続税対策
不動産の贈与【実践!相続税対策】第504号
2021.08.18
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
相続税対策として、贈与を行うことはよくあります。
ただ、贈与の対象となる財産は、現預金であることが多いですね。
贈与の相手である子や孫などの口座に振り込めばよく、簡単に実行できるからです。
中小企業の経営者などは、事業承継のために自社株を贈与することもよくあります。
ただ、相続財産で大きな割合を占める不動産については、贈与することはあまりありません。
不動産は金額が大きくなり、110万円の非課税枠を大きく超えて、累進税率で税率も高くなるからです。
不動産を贈与する場合には、建物だけを贈与して家賃収入を移したり、相続時精算課税を使って贈与することは、たまにあるケースです。
相続時精算課税の場合は、相続財産に加算されてしまいますが、加算する額は贈与時の価額でいいので、値上りするような不動産であれば、適していますね。
不動産、特に土地は高いので贈与には向かない、ということですが、持分贈与する、という方法はあります。
たとえば、評価額3,000万円の土地を、1/20ずつ、評価額にして150万円分を、毎年贈与して20年で子に移していく、というようなことです。
150万円であれば、贈与税は4万円で済みます。
ただし、土地の所有権を移転するわけですから、登記をしなければなりません。
土地の所有権を移すと、登録免許税、不動産取得税、登記を司法書士に依頼すれば、司法書士報酬もかかります。
また、土地の評価を税理士に頼めばそれにも報酬が発生します。
それなりのコストと手間がかかることになりますね。
したがって、土地の持分贈与はあまりお奨めしていませんでした。
ただ、最近、こまめに毎年土地を子や孫に贈与している方を、お見受けしました。
確かにコストはかかるのですが、評価も登記も自分でやることによって、最低限のコストでやっています。
10年超続けているので、それなりの財産が次世代以降に移っているので、なるほどそれなりの効果はあるなと、思いました。
土地の持分贈与をやるなら、自分で手続きをするくらいの覚悟でやった方がよいと思います。
毎年やるのであれば、覚えることができます。最初の年だけ専門家に手伝ってもらえば、後は自分でやる、といいうことも可能でしょう。
ただし、土地を贈与した場合は、小規模宅地の特例は使えなくなりますので、注意が必要です。
自宅の敷地については、330m2まで80%評価減できますが、これは相続の場合です。贈与でもらった場合には、この評価減を使うことはできません。
アパートやマンションなどの敷地も、貸付事業用の小規模宅地特例が、相続では使えますが、贈与では使えません。
これらの計算をしっかりした上で、影響がない土地であれば、贈与を考えても良いかも知れません。
不動産は将来、どのように使うのか、誰が使うのか、ということが非常に重要です。
それをあまり考慮せずに、贈与を始めてしまうと、後で厄介な問題が発生することもあります。
相続対策については、税金だけでなく、使い方も含めてじっくり考えていくことが大事ですね。
《担当:税理士 北岡修一》
編集後記
ついにパラリンピックも無観客になってしまいましたね。オリンピックもパラリンピックも観に行く予定を立てていましたが、その予定も消しました。まあ、難しいかなとは思っていましたが、ちょっと残念です。
後は何とか9/12には宣言も終わらしてもらうようにして欲しいですが…あまりにも策がないのでどうでしょう…
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