実践!相続税対策
債務控除が切り捨てられる場合【実践!相続税対策】第506号
2021.09.01
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
アパートを建てるなどして、相続税対策をバッチリやった場合でも、実際に相続税を計算してみると、そうならない場合があります。
たとえば、次のような例があったとします。
<父の財産内訳>
・アパート土地 評価額 5,000万円
同上評価減 ▲3,000万円
・アパート建物 評価額 5,000万円
同上借入金 ▲9,000万円
・その他の財産 6,000万円
─────────────────
差引合計 4,000万円
父の相続があり、相続人は兄弟2人です。
評価額5,000万円の土地がありましたが、相続税対策で1億円を借りてアパートを建てました。
相続時の借入金の残は、9,000万円になっています。
その結果、土地は貸家建付地評価とと小規模宅地特例で3,000万円の評価減ができました。
さらに、建物の評価は、固定資産税評価になり、貸家の評価減もあり、評価額は5,000万円になりました。
その結果、差引合計すると財産合計は、4,000万円となり、基礎控除額4,200万円を下回ることになり、相続税はかからないだろう、ということになりました。
ところが、実際に相続税計算してみると、相続税がかかることがわかりました。なぜでしょうか?
それは、遺産分割をアパートの土地建物と、その借入金を長男が相続し、その他の財産を次男が相続したからです。
それを計算してみると、次のようになります。
長男の財産:5,000万円-3,000万円+5,000万円-9,000万円= ▲2,000万円
次男の財産:6,000万円
相続税の計算は、個別に取得した財産を合計して、相続税の課税対象となる額を計算します。
その際、長男が取得した財産はマイナスでゼロとなります。ゼロには税金がかかりません。
しかし、そのマイナスを次男の財産から引くことはできません。実際、次男がそのマイナス(債務)を負担はしません。
すなわち、各人のマイナスは切り捨てられ、プラスの財産だけを合計して、課税価格を計算します。
この場合は、6,000万円となります。
そこから基礎控除額4,200万円を控除して、残額1,800万円に相続税がかかってくるのです。
このように全体だけ見ていると、相続税がかからないかと思っていると、勘違いをしてしまうことがあります。
全体で見た上で、これをどのように遺産分割するのか、それも加味して計算しないといけないですね。
これは、たとえば代償分割などをする場合、代償金を支払う相続人はその分をマイナスし、代償金をもらう方はその分をプラスしますので、上記のようなことがおこる可能性があります。
債務が多い場合、代償金を払う場合などは、注意していただきたいと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
9月に入りましたね。そのせいか今日の朝は少し寒い感じもしましたね。とは言え、きっとまだまだ暑い日は10月まで続くのでしょうね。
コロナも収まっていい季節になることを願っています。
メルマガ【実践!相続税対策】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0001306693.html