実践!相続税対策
3,000万円控除はどこから控除する?【実践!相続税対策】第509号
2021.09.22
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
自宅を売却したときの3,000万円控除は、税法の中でも一般の皆様が、一番よく知っている特例ではないかと思います。
住んでいた自宅を売った場合には、次に住むところを探さなくてなりませんから、3,000万円控除で税金がかからなければ、非常に助かりますね。
ただ、注意しておかなければいけないのは、これは建物を持っている人が受けられる特例である、ということです。
不動産を売った時に、利益が出るのは主として土地の値上り分ではないでしょうか。
建物の方は、古くなればどんどん価値が落ちていき、耐用年数を過ぎた建物などは、売却の際にはほとんど価格が考慮されない、ということも多いです。
したがって、建物を持っているだけでは、3,000万円控除のメリットを活かせることができません。
建物を所有している人が、建物と共にその土地を売った場合には、その土地からも3,000万円控除ができることになっています。
土地と建物がセットになって、はじめて3,000万円控除の特例が活かせるということですね。
したがって、建物は住んでいる人が所有している、土地は別なところに住んでいる父親が所有している、
というような場合は、3,000万円控除が活かせない、ということになります。
子が持っている建物の売却益は出ませんが、土地の売却益は出る。ただし、父親は住んでいないので、3,000万円控除は受けられない、ということになります。
そのようなケースもよくありますので、注意してください。
なお、土地と建物の所有者が別である場合でも、3,000万円控除が受けられる場合があります。
それは、次のような場合です。
1.自宅の土地と建物を同時に売却すること
2.土地と建物の所有者が、親族であり生計一であること
3.土地と建物の所有者が、その建物に一緒に住んでいること
このような場合には、土地と建物両方の売却益から3,000万円を控除することができます。
ただし、上記の場合の控除額は、2人合わせて3,000万円までとなります。
まず、建物の所有者の売却益から3,000万円を控除し、控除しきれなかった残額を、土地の所有者の売却益から控除することができます。
では、建物を夫婦で共有している場合などは、どうでしょうか?
建物所有者が3,000万円控除を受けられる、ということでしたので、この場合は1人3,000万円、2人で6,000万円の控除を受けることができます。
ただ、建物は共有だけれども、土地は夫だけが持っている、というような場合は、妻は土地の利益がないので、結局は、3,000万円しか使えない、ということになります。
6,000万円の控除を使おうと思えば、妻も土地を共有しておく必要があります。
婚姻20年を過ぎると、自宅を配偶者に贈与した場合の2,000万円控除という規定もあります。これをうまく使って共有の状態を作っておくことで、将来自宅を売った場合の税金対策になるかと思います。
ただし、それだけの利益が出そうだ、いうことが前提です。
買った値段が高くて、利益が出そうもなければ、無理して共有にする意味はないかも知れませんね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
新規感染者がどんどん減ってきていますね。9月末に向け何とかなりそうな気もしてきました。ワクチンも行き渡り総裁選、総選挙が終わって、明るいアフターコロナになることを期待したいですね!
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