実践!事業承継・自社株対策
中心的な同族株主は株価が高くなる【実践!事業承継・自社株対策】第71号
2021.10.14
Q:父が創業した会社を、現在は兄が経営していますが、弟である私も株式を持っています。
私の株式を、会社で買い取ってもらうよう兄に依頼しましたが、株価が高くなるからと断られました。
私の息子に譲ってからであれば、株価が安くなると言われましたが、どういうことでしょうか?
A:これだけの情報では、わからないとことがありますが、おそらくご質問者は「中心的な同族株主」になるからではないでしょうか?
先週のQ&Aで書きましたが、個人が法人に株式を譲渡する場合、
譲渡した株主が、中心的な同族株主の場合は、小会社に該当するものとして評価する、と書きました。
この「中心的な同族株主」とは、その株主と、その株主から見て下記の者の議決権割合の合計が25%以上である場合の、その株主のことをいいます。
・配偶者
・直系血族
・兄弟姉妹
・一等親の姻族
(一定の法人を含む)
ご質問者から見ると、父は直系血族であり、兄は兄弟姉妹にあたります。
したがって、中心的な同族株主の判定では、父と兄と自分の株式で25%以上を満たすのではないでしょうか?
したがって、株式の評価は小会社評価によります。小会社の評価は、次のように行います。
類似業種比準価額×0.5 + 純資産価額×0.5
すなわち、類似業種比準価額と純資産価額を半々ずつ取るということになります。(純資産価額が上記計算より低い場合は純資産価額となります)
通常は類似業種比準価額の方が、低くなることが多いですから、それが半分しか取れないということは評価が高くなる可能性があります。
貴社の会社の規模がわかりませんが、大会社であれば、類似業種比準価額を100%取ることができるので、この場合は、それよりも高い価格で売ることになります。
最後の息子さんに譲った場合の話ですが、息子さんは、中心的な同族株主に該当しないので、株価が低くなる、ということではないでしょうか?
息子さんから見れば、父や祖父は直系血族になりますが、叔父(ご質問者の兄)は、直系血族でも兄弟姉妹でもありません。
したがって、兄の株式が判定からはずれますので、息子さんは、中心的な同族株主に該当しないということではないでしょうか?
上記を参考に、株主構成を見て、判定してみていただければと思います。
《担当:税理士 北岡修一》
編集後記
中心的な同族株主の説明は、ちょっと難しかったかも知れません。
ご不明な点があれば、是非、メールでご質問ください。
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