実践!事業承継・自社株対策
合併して事業承継税制を適用【実践!事業承継・自社株対策】第73号
2021.10.28
Q:当社は貸しビル業を行っており、非常に株価が高くなっています。子どもへの事業承継を考えていますが、資産管理会社に該当するため、事業承継税制は使えないとのこと。
関連会社に小売業を営む会社もあるのですが、この会社と合併して小売業も行うようになれば、事業承継税制を受けられるのでしょうか?
A:合併して要件を満たせば、事業承継税制を受けられる可能性があります。
まず、資産管理会社には、資産保有型会社と資産運用型会社があります。
資産保有型会社とは、総資産に占める特定資産の割合が、70%以上を占める会社です。
また、資産運用型会社とは、総収入の内、特定資産の運用収入の割合が、75%以上となる会社です。
この特定資産には、次の資産が該当します。
1.国債・地方債・上場株式などの有価証券、特別子会社(資産管理会社である場合)の持分
2.賃貸用不動産など自社で利用していない不動産
(自社の事務所、店舗、工場、倉庫などで利用しているものは除きます)
3.会員権(ゴルフクラブ、リゾート施設など)
4.書画骨董品、貴金属、宝石など
5.現金預金、後継者や同族関係者への貸付金など
貴社は、貸しビル業ということで、上記2の賃貸不動産の占める割合が高いのかと思います。
そこで、関連会社と合併することにより、資産管理会社からはずれることになれば、事業承継税制を受けることができます。
また、合併しても上記要件から、はずれることができなかったとしても、次の場合には、事業承継税制の適用を受けることができます。
1.3年以上継続して、事業(商品販売や役務提供等)を行っていること
2.常時使用する従業員(一定の親族を除く)が、5人以上いること
3.事務所や店舗等の固定施設を、所有または賃借していること
小売業の関連会社と合併することにより、従業員が5人以上になり、店舗や事務所などを構えていれば、事業承継税制の対象になるということです。
なお、従業員数については、常に5人以上いる必要があります。これについては、2021/04/23発行の(第46号)メルマガに詳しく記載しておりますので、そちらも併せてお読みください。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
事業承継税制を受けるための特例承継計画の確認申請が、あと1年半と迫ってきました(令和5年3月31日まで)。
私どもでも、このところ計画の作成や確認申請をお手伝いする会社が増えてきています。
将来の承継がまだどのようになるかわからない、という会社でも、計画を出す段階では確定でなくも構わないので、事業承継税制を使う可能性があるのであれば、申請をした方がいいと思います。
お悩みの方は、セカンドオピニオン等でも是非、ご相談いただければと思います。
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