実践!相続税対策
代物弁済した場合の税金【実践!相続税対策】第518号
2021.11.24
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
先日あった相談で、親族間で借金があり、それを代物弁済で返済したいが、税金はどうなるか、というものがありました。
代物弁済とは、借金を現金で返すのではなく、不動産など物や権利等で返済することをいいます。
この場合には、譲渡所得税がかかることになります。
借金を返済しただけで、現金の入金もないのに、なぜ税金がかかるのか、と思われるかも知れません。
不動産を代物弁済に充てた場合には、不動産を売却して、そのお金で借金を返済したと、取引を2つに分けて考えます。
したがって、その売却について、譲渡所得が発生することになります。
これは、実際に不動産を売却してお金を作り、そのお金で借金を返済した人との均衡をはかるためでもあります。
では、代物弁済をしたときの譲渡収入はいくらになるのでしょうか。
これは、その代物弁済により消滅した債務の金額が基本となります。
たとえば、5,000万円の借金があって、その返済のためにある不動産を代物弁済に充てたとなれば、5,000万円が譲渡所得の収入金額となります。
ただし、その不動産の時価が、債務の金額よりも低い場合は、その時価により売却したことになります。
不動産の時価が低かった場合、その差額はどうなるのでしょうか。
先ほどの例で、借金5,000万円の返済のために、代物弁済した不動産の時価は4,000万円であったが、これで借金を帳消しにしてもらったようなケースです。
この差額の1,000万円は、債務の返済を免除されたということで債務免除益となり、原則、一時所得として課税されることになります。
では、逆に不動産の時価の方が高い場合の差額はどうなるでしょうか。
これも先ほどの例で、借金5,000万円の返済のために充てた不動産の時価が6,000万円であったとします。
この差額1,000万円について、清算金として支払いを受けた場合には、譲渡所得の収入金額に加算することになります。
差額を清算しない場合は、利息の条項がどうなっているかなどにもよりますが、利息と認識するケースもあります。
あるいは、相手に対する贈与になる可能性もあります。この場合には、贈与税がかかってきます。
代物弁済する場合には、債務の額と時価とをよく検討しておかなければなりませんね。
なお、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合に、代物弁済を行ったときは、所得税を課さないという措置があります。
ただし、清算金を受け取る代物弁済で、それをすべて他の返済に充てない場合は、非課税にはなりません。
また、代物弁済は譲渡になるということですから、その対象不動産が自宅である場合は、居住用財産の3,000万円特別控除を受けることができます。
ただし、返済先が親子や配偶者、生計一の親族、自分の経営する会社などの場合には、3,000万円特別控除は受けることができません。
なお、対象不動産が事業用資産(土地等の非課税資産を除く)の場合は、消費税の課税対象になります。
その他、登記手続き等においても、代物弁済の場合には違ってきますので、活用する場合は、それらの点なども検討しておく必要があります。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
最近は、空き家のご相談が多くなってきましたね。
東京都の事業でもある空き家フォーラムの相談員を今週末やっています。
11/27(土)東京都空き家フォーラムin文京で相談を受けていますので、ご相談ある方は是非、いらしてください。下記サイトに案内があります。
https://www.nexteyes.co.jp/event/202111bunkyo/
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