実践!社長の財務
令和4年度税制改正大綱-法人税関連【実践!社長の財務】第949号
2022.01.10
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
昨年、12月10日に令和4年度の税制改正大綱が公表されました。
個人や資産税関連の改正内容については、「実践!相続税対策」メルマガ(下部の方に案内あり)の方で書いていますので、このメルマガでは、法人関連の改正について書いてみます。
今回の法人関連の改正では、大きな改正はありません。
目玉は、相変わらず「賃上げ税制」ですね。
なかなか効果が上がっていない、ということで、さらに強化しようということです。
大企業向けには、人材確保等促進税制の改正です。
改正後の税制は、継続雇用者の給与等支給額の増加割合が、前期比3%以上の場合に、対象となる給与等支給増加額の15%を税額控除できます。
増加割合が同4%以上の場合は、税額控除率に10%を加算することができます。
さらに、教育訓練費が前期比20%以上増加していれば、税額控除率に5%を加算することができ、税額控除率は最大で30%となります。(15%+10%+5%)
改正前は最大20%でしたので、大幅に税額控除率がアップすることになります。
中小企業向けには、所得拡大促進税制の強化です。
この税制は、雇用者全体の給与等支給額の増加割合が前期比1.5%以上の場合に、対象となる給与等支給増加額の15%を税額控除できます。
この内容は改正前と変わりません。
強化されたのは、所得拡大促進税制の上乗せ措置です。
改正前は、2.5%以上の賃上げ要件、教育訓練費を10%以上増やす教育訓練費要件の2つを満たした場合に、税額控除率を10%加算することができました。
改正後は、上記賃上げ要件を満たした場合に15%加算、さらに、教育訓練費要件を満たせば10%加算、合計25%の加算をすることができるようになります。
改正前は上乗せ措置を含め、給与増加額の25%の税額控除だったものが、改正後は40%もの税額控除になります。
大幅に税額控除できる額が増える、ということです。
ただし、上限が法人税額の20%ということは変わっていないので、計算上は控除額が増えても、実際に控除できるかどうかはわかりませんね。
この上限額を是非、上げて欲しいところではありますが。
オープンイノベーション税制が延長されます。
オープンイノベーション税制とは、大企業が設立10年未満の非上場企業に、1億円以上を出資した場合に、出資額の25%相当額を所得金額から差し引くことができる税制です。
中小企業が出資する場合は、1千万円以上から対象となります。
この税制について若干の見直しを行った上で、その適用期限が2年延長されます。
少額減価償却資産の損金算入制度が、見直されます。
取得価額が10万円未満の減価償却資産については、取得時に全額損金算入することができます。
また、取得価額が20万円未満の減価償却資産については、一括償却資産として3年間で均等償却をすることができます。
さらに、取得価額が30万円未満の減価償却資産については、年間300万円まで取得時に全額損金算入することができます。
これらの制度が過度な節税対策に用いられることがあるため、主要な事業以外の貸付の用に供した資産は、少額減価償却資産の損金算入制度の対象からはずされることになります。
以上、主な改正です。
編集後記
年末年始の休みが終わって、少し慣らし仕事を始めて、すぐの3連休。ちょっとホッとしますね。
とは言えこの3連休は、書けなかった原稿を書いたり、問合せの返信書いたり、書き物が多かったですね。
良かったです。こういう時間があって。
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