不動産 税金相談室
所有期間が異なる場合の譲渡所得計算【不動産・税金相談室】
2022.01.21
Q 土地付き建物を売却したことによる譲渡所得の計算について質問です。
土地は10年くらい前に父から相続したものであり、建物は3年前に自分が建築し、賃貸していました。
この場合、所有期間がそれぞれ異なるのですが、譲渡所得税はどのように計算すればよいのでしょうか。
A 土地付き建物を一括譲渡した場合の譲渡所得計算は、土地と建物に区分して計算する必要があります。
譲渡所得は、売った金額から取得した金額や譲渡費用などを控除して、利益が出る場合に、譲渡所得税がかかります。
また、土地と建物の所有期間が異なることにより、それぞれの所得に対する税率も異なります。
所有期間が5年超の場合は、長期譲渡に該当し、所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡に該当します。
今回の場合、土地は土地、建物は建物で、譲渡所得を計算していきます。
売買契約書に、土地と建物のそれぞれの売却金額が明記されている場合は、問題ありませんが、一括で売却金額が記載されている場合は、土地と建物に区分する必要があります。
消費税の記載がある場合、土地は非課税ですので、消費税率で割り戻すと建物の売却金額を計算することができます。
消費税の記載がない場合は、固定資産税評価額などを基に按分するなど、合理的に区分する必要があります。
土地と建物に売却金額を分けることができたら、それぞれの売却金額から取得費を控除します。
土地については、被相続人が取得したときの金額が分かるようであれば、その金額を用います。
取得時の金額が不明の場合は、概算取得費として売却金額の5%を取得費として控除することができます。
建物については、建築代金から減価償却費を控除した金額が取得費となります。
また、譲渡費用も売却金額から控除することができますので、土地と建物の売却金額で按分していきます。
それぞれの所得金額がプラスの場合、所有期間に応じた税率を乗じます。
土地は長期譲渡所得に該当しますので、20.315%(住民税、復興所得税を含む)の税率がかかります。
建物は短期譲渡所得に該当しますので、39.63%(上記同じ)の税率がかかります。
計算の結果、土地に益が生じ、建物に損が生じた場合には、これらの損益を通算し、益がある場合のみ税金がかかります。
なお、不動産の譲渡所得については、いくつか特例もあります。
要件を満たす場合には、特例税率が適用される場合もあります。
そろそろ確定申告が始まります。複雑な譲渡所得の場合は、専門家である税理士に早めにご相談ください。
《担当:税理士 宮田 雅世 》
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