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配偶者居住権と小規模宅地の特例【不動産・税金相談室】

配偶者居住権と小規模宅地の特例【不動産・税金相談室】

2022.01.28

Q 両親と私の3人で同居しておりましたが、父が亡くなったため、自宅に配偶者居住権を設定した上で、私が自宅の土地建物を相続しました。
この場合、小規模宅地の特例を受けることは可能でしょうか。

A ご質問の場合、居住や保有の継続要件を満たしているのであれば、小規模宅地の特例を受けることが可能です。

そもそも、配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、遺された配偶者の「居住権」を保護するため、令和2年4月以降の相続より認められた制度です。

居住する権利ですから、不動産の所有権とは分けて考えることとなり、たとえば「所有権」はお子様が相続され、「居住権(建物の居住権とその敷地の利用権)」を配偶者が相続するという形態が想定されます。

これまでは、単に所有権に対して小規模宅地の特例を検討すれば良かったのですが、配偶者居住権を設定した場合には居住権と所有権について評価や特例の検討をする必要があります。

ご質問のケースでは、居住権を相続された配偶者は当然のこと、所有権は同居されているご質問者が相続されていますので、いずれも小規模宅地の特例を受けることが可能です。

一方、所有権を相続された方が別居されているケースでは、居住権を相続する配偶者については、小規模宅地の特例を受けられるものの、所有権を相続された別居の相続人は、特例の適用がありません。

この場合、配偶者居住権を設定せず配偶者が自宅を相続されるのであれば小規模宅地の特例を受けることができます。

配偶者居住権は、配偶者の居住権の保護が目的の制度ですが、それを活用するかどうかは、税務上の特例などを考慮されるのも一考でしょう。

さて、配偶者が亡くなったり(二次相続)、当初設定した期間が終了した場合には、配偶者居住権が消滅します。

このような消滅時の税金問題も気になるところですが、通常、消滅した際には税金が発生しないこととされています。

ただし、配偶者居住権の解除や放棄などにより、途中で消滅した場合には譲渡や贈与として取り扱われ、税金が発生しますので注意が必要です。 

  

《担当:税理士 樋口 智勇 》

                     

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