実践!事業承継・自社株対策
事業承継税制贈与後について【実践!事業承継・自社株対策】第92号
2022.03.24
Q 私の友人の社長が事業承継税制を利用し、多額の税金の支払をしなくて済んだと言っていました。
私の会社もちょうど息子に経営を任せ、あとは、株式について今後どうしようか検討していました。
息子はまだ株式を購入できるほどの資金もないことから、贈与できないかと考えています。
そこで、株式を贈与した場合の税金を計算したところ500万円程度となりました。
この場合、やはり事業承継税制を利用することが有利に思いますが、いかがでしょうか?
A 確かに状況としては、すでに事業の後継者が決定しており、事業承継税制を適用はしやすいように思います。
ただ、納税猶予できる金額が500万円というところで、もう少し検討した方がよろしいかもしれません。
事業承継税制は、これを適用して贈与するまでも一苦労ですが、贈与後も一定の手続きが必要となります。
贈与税の申告期限後5年間は、毎年、継続届出書と年次報告書を提出し、5年経過後は3年ごとに継続届出書を提出しなければなりません。
この書類は、さまざまな添付書類があり、かなりわずらわしいものとなります。
この届出を提出し忘れた場合はもちろんのこと、その他一定の要件を満たさなくなった場合は、納税猶予が取消となり、贈与税と延滞税の納付が必要となります。
これらの手間や費用を精査し、事業承継税制以外の方法、暦年課税や相続時精算課税などを適用して節税の目的が達せられないかも再検討してください。
必ずしも事業承継税制が有効ではない、ことも考えられます。慎重にご判断いただければと思います。
《担当:税理士 青木 智美》
編集後記
ついに確定申告の提出期限3月15日が終わりました。
今年は、確定申告が原則延長されることはなく、個々に延長が認められました。
3月14日には、国税庁側のシステム障害があり、それを理由とした延長も認められました。
一部影響があった申告もありますが、やはりゆとりのある申告をしたいものですね。
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