実践!事業承継・自社株対策
仮決算と類似業種比準価額【実践!事業承継・自社株対策】第95号
2022.04.14
Q 私はある建設会社の代表兼オーナーを務めています。
今年で70歳になり、そろそろ息子に経営を譲り、株式も譲渡することを決めました。
昨今の原油高騰の影響もあり、現在の業績は振るわない状況です。
株価評価にあたって、仮決算を組み、株式を評価しようと思いますが、株価(純資産価額・類似業種比準価額)を引き下げることはできますか。
A 現在の業績が悪く、昨年と比べて赤字の場合、純資産価額につきまして、引き下げることが可能かと思います。
また、退任をご検討されている場合は、退職金の支払いを検討をされてもよろしいかと思います。
退職金は、適正額の支払いであれば、会社の経費となり、株価を引き下げることができ、所得税法上も優遇されています。
ただ、株価の引き下げにのみ注力してしまうと、これから息子さんの代が始まろうというときに、多額の退職金の支払いにより、資金繰りが悪化してしまうなど、本末転倒とならないように、注意が必要かと思います。
一方、類似業種比準価額については、あくまでも類似業種の企業と、1年間の配当・利益・純資産を比べて、自社の株価を求めるものです。
よって、仮決算をしてもその数字は利用できず、直前期をベースに評価する必要があり、類似業種比準価額の引き下げにはつながりません。
したがって、今期が終わってから株式評価をした方が、業績が振るわない状況が株価に反映されるため、株価が引き下げられる可能性があります。
なお、3期配当もなく、3期連続赤字の場合など、配当・利益・純資産の状況が悪い場合、通常より類似業種比準価額が利用できる割合が下がったり、利用できなくなることもありますので、ご注意ください。
《担当:税理士 青木 智美》
編集後記
最近地震が多くて怖いですね。
何かを予兆しているような気がして、不安になります。
改めて万一に備える準備が必要なのでしょう。
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