実践!社長の財務
設備投資の罠【実践!社長の財務】第964号
2022.04.25
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
長年、中小企業の経営を見てきて、設備投資は本当に慎重に行わないといけないな、と思います。
過度の設備投資がきっかけで、会社の業績、資金繰りが大きく悪化していくことが多かったからです。
工場の新設、建て替え、移転、最新鋭機械の導入、本社ビルや新オフィスの購入や賃貸、内装などに、大きなお金をかけるときは、本当に注意しないといけないですね。
惑わされるのは、新設される施設のカラー図面や画像など、ビジュアルに訴えるものです。
こういう図面などを見ると、夢がどんどん膨らんで、つい不要なものを追加したり、ワンランク上のものにしたりしてしまいます。
個人の趣味やマイホームを作るのなら、それでいいのかも知れませんが、事業を行っているのですから、その目的と採算を冷徹に考えていなければなりません。
そのためには、やはり数字を重視することです。
今回かけると決めた投資予算、まずはこの範囲内で行うということ。上記の図面などを見ると、この投資予算をいとも簡単に上方修正してしまうケースが多いです。
失敗の元ですね。
そして、投資後の売上の見込み、償却を含めた経費の増加額、利益変動予測、資金繰りに与える影響などを充分に検討します。
この場合、注意しなければいけないのは、設備投資による売上増の見込みです。
この投資をすれば、これだけの増収が見込める、というのは、あくまで見込みに過ぎません。
さらに設備投資には、夢や期待がありますので、どうしても希望的観測が入ってしまいます。売上見込みは高くなってしまいがちです。
投資額や増える経費、調達する資金などは、ほぼ確実に予測できますが、唯一、売上の増加額だけは、あくまで見込みに過ぎません。
簡単には見込みどおりにはいかない、何が起こるかわからないと、慎重に考えておいた方がよいでしょう。
設備投資に期待するのはいいですが、そこから湧き上がる未来像に過度に期待せず、最低限の投資をして欲しいなと思います。
編集後記
あっという間に4月も最終週で、今週末からはGWなのですね...GWのことなどは、ほとんど考えていませんでした。
コロナへの関心が少しずつ薄らいでいるような気もしますので、今年のGWは結構な人出になるのではないでしょうかね。
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