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株式交付制度とは?【実践!事業承継・自社株対策】第107号

株式交付制度とは?【実践!事業承継・自社株対策】第107号

2022.07.07

Q 当社は非上場の同族会社(A社)ですが、親族や社員、元社員などに株式が分散しているため、持株会社(B社)を作って、株式を集約しようとしています。
昨今、株式交付制度というものができ、B社が自社株を交付して、A社株式を譲り受けることができるそうですが、具体的にどのような制度でしょうか?
また、株式交換とはどのように違うのですか?

A 株式交付とは、株式会社(A社)が、他の株式会社(B社)を、その子会社とするために、B社の株式を譲り受け、B社株式の譲渡人に対して、その対価として、A社の株式を交付することをいいます。
2019年に会社法が改正され、2021年3月1日に施行されたばかりの制度です。

株式交付には、次のような特徴があります。

・株式交付は、子会社化をするために行う。したがって、子会社化できない場合は、株式交付は中止となる。

・既に子会社である場合は、株式交付を行うことはできない。

・完全子会社化する必要はなく、子会社になればよい。子会社株主は、株式交付に応じるかどうかは任意。

・親会社、子会社とも国内の会社であり、株式会社であること。合同会社は対象外。

・対価として交付するのは株式だけでなく、金銭等を交付することも可能。

・子会社の株主は、交付対価の80%以上が親会社株式である場合は、税制適格となり、株式の譲渡損益に対する課税が繰り延べられる。

以上のように、株式交付は、完全子会社にするのではなく、子会社化すればよい、という際に適した制度です。

そもそもは、自社株を交付して行うM&Aを促進するために、設けられた制度でもあります。

したがって、御社の状況に適した制度であるかどうかはわかりませんが、株式を集約する過程の一部で活用することは、できるかと思われます。

自社株を交付して子会社化する、ということでは、確かに株式交換と似ています。
株式交換との違いは、次のような点です。

・株式交換は、完全子会社(100%)にするために行われる。一部の株式の取得では認められない。株式交付は、子会社にさえなればよく、一部の株式の取得だけでよい。

・株式交換は、合同会社が親会社になることもできるが、株式交付は株式会社のみ。

・株式交換は、金銭等を交付すると税制適格要件を満たさない。株式交付は、交付対価の80%以上が親会社株式であればよく、金銭等を交付しても税制適格になる。

以上のように、株式交付はハードルが高かった株式交換などの手法を、使いやすくしたもの、と言えるかと思います。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

昨日は、ある銀行主催のセミナーを行ってきました。
過度な相続税対策が否認された最高裁判決があった影響もあるのか、非常にナーバスで相続税対策の話は、極力しない方向での内容になりました。確かに今は、風当たりが非常に強いのかも知れませんね...。

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