不動産 税金相談室
持分のない私道に面した土地の評価【不動産・税金相談室】
2022.07.15
Q 実家の土地は私道に面しており、私道を通らずに公道に出ることができませんが、我が家ではその私道の持分を有していません。
役所で調べたところ、その私道は位置指定道路に指定されていて、路線価が付いているようですが、持分がない場合であっても、その私道に付けられている路線価を使用して、評価をしなければならないのでしょうか。
A 実家の土地に面している路線価がある場合には、それが公道か私道かを問わず、その路線価を用いて評価することとされています。
そのため、ご質問のケースでは、たとえ私道の持分を有していなくとも、その私道に付された路線価により評価すべきと考えられます。
私道の持分を有していないことから、公道まで他人の土地に囲まれている状況ですが、いわゆる「無道路地」とは状況が異なりますので注意しなければなりません。
ご質問の私道は、位置指定道路とのことですので、所有者以外の第三者の通行を許容する性質を有しているものとして公衆の通行・立ち入りを禁止したり、阻害することはできないこととされています。
また、位置指定道路は建築基準法上の道路と認められますから、新たに建物を建築する際の接道義務を満たしていることとなります。
一方、無道路地は他人の土地に囲まれていて、接道義務を満たしていない土地をいいます。
接道義務を満たしていない無道路地については道路に通じる仮定の通路を設定して評価を行うこととなりますが、仮定の通路によって不整形地補正など、種々の補正を行う結果、その評価額が下がることになります。
無道路地は新たに建物を建築することができず、不安定な状況にありますから、このように評価の上で相当の減額が考慮されています。
今回のご質問の土地ですが、持分のない私道とはいえ、位置指定道路であり、かつ、その私道に路線価が付されていますから、無道路地の評価を採用することはできず、その土地に面した私道の路線価により評価することとなるのです。
なお、令和4年度の路線価は、7月1日に公表されていますので、今年の相続あるいは贈与については、新たに公表された路線価を使用して、評価するようご注意ください。
《担当:税理士 樋口 智勇 》
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