実践!事業承継・自社株対策
債務超過会社を合併する【実践!事業承継・自社株対策】第109号
2022.07.21
Q 当社は製造業で業績も良く、自社株の相続税評価額も相当高くなっております。
ただ、当社資材の調達や外部への販売も行っている子会社の業績が良くなく、債務超過に陥ってる状況です。
そこで、自社株の承継対策も兼ね、子会社を合併してはどうかと思っていますが、株価引下げなどの効果はあるでしょうか?
A 旧商法では債務超過会社を合併することはできませんでしたが、会社法では可能になっています。
ご質問のとおり、債務超過会社を合併することにより、株価を引き下げられる可能性があります。
1つには、類似業種比準価額を算定する際の会社規模が、合併により大きくなることによる効果です。
会社規模が大きくなれば、類似業種比準価額を用いる割合が高くなります。
通常は、類似業種比準価額の方が、純資産価額よりも低いことが多いですので、その割合が高まれば全体として株価が下がることになります。
ただし、既に大会社(従業員70人以上など)である場合には、上記は影響ありません。
もう1つは、類似業種比準価額の比準要素である、利益や純資産が、債務超過会社と合併することにより下がるため、株価が下がる可能性があります。
ただし、合併により業種が変わってしまうような場合は、各比準要素の適切な把握ができなくなってしまいます。
このような場合には、類似業種比準価額が適用できない可能性がありますので、合併直後に贈与や相続がある場合には、注意しなければなりません。
なお、純資産価額を計算する際に、子会社が土地建物を所有していた場合、その土地建物は合併後3年間は相続税評価額によらず、通常の取引価額(時価)で評価することになりますので、注意しておく必要があります。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
4回目のワクチンの案内が来ましたが、ファイザーにするかモデルナにするか悩むところですね(笑)。
皆に聞くと本当にそれぞれいろいろな意見があるので、まあどちらでも良いのですが、すいているところ、受けやすいところがいいですかね。
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