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令和4年類似業種比準価額と株価への影響【実践!事業承継・自社株対策】第110号

令和4年類似業種比準価額と株価への影響【実践!事業承継・自社株対策】第110号

2022.07.28

Q 私の会社は、建設業をしております。 
最近、令和4年の類似業種比準価額が発表されたので、確認してみました。

今期、私の会社の業績は悪かったのですが、類似業種の株価が上がると、私の会社の株価も上がってしまうのでしょうか。

A 株価が上昇するとは、一概にはいえません。

まず、類似業種比準価額の計算で採用する類似業種の株価は、以下のうち最も低い価格になります。

1.課税時期の属する月
2.課税時期の属する月の前月
3.課税時期の属する月の前々月
4.前年平均株価
5.課税時期の属する月以前2年間の平均株価

さて、建設業の場合、令和3年の評価で使う一番低い株価は、4番の令和2年の平均株価の275円でした。

一方、令和4年4月を贈与日と想定した場合に、使用する株価は、1番の4月の株価、287円です。

このように比較すると、確かに昨年よりも13円株価が増加しております。

これにより、今期の貴社の株価が上がる可能性はあります。

一方で、建築業の類似業種比準価格の評価の根底となる3要素(配当・利益・純資産金額)が、貴社の類似業種(建設業)では、上がっています。

たとえば純資産の場合、1株当たりの純資産価額は、昨年の357円から、今年は387円に増加しています。

※1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数をもとに計算します。

つまり、貴社の純資産が、昨年と変わらなかったとしても、比較対象の類似企業の純資産が増加していることにより、今期は、貴社の魅力が低くなります。

ということは、前回の決算で業績が落ちたことにより、貴社の純資産が減っている場合には、昨年よりも貴社の魅力が一時的に減少し、かつ、類似業種の業績があがることにより、さらに差が開き、株価の減額要因となります。

このように、どれか一つの指標が上がったからといって、それのみで、株価が上がったり下がったりするとは言い切れない、ということになります。

実際に株価を計算して、確かめてみることをお勧めします。

《担当:税理士 青木 智美》

編集後記

梅雨が戻ってきたような季節ですね。
何か不思議と6月よりもずいぶん涼しかったかのように錯覚してしまいます。

最近の不安はコロナの拡大もそうですが、新たな感染病が広がっていることも気になります。
本当に映画の世界に入ってきてしまったかのようです。

温度変化で風邪をひく方も多いようですので、ご自愛いただければと思います。

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