実践!社長の財務
SPCの効用【実践!社長の財務】第979号
2022.08.08
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
最近は、事業承継の相談なども多いですね。
ただ、親族内に後継者がいなかったり、いても会社を引き継いでいくタイプではない、ということも多いです。
そんなときには、他の方法を考えるしかありません。
役員や社員への承継であったり、それも難しいようであれば、M&Aなども候補に上がってきます。
役職員への承継は、MBO(マネジメントバイアウト)といいます。
このMBOやM&Aを行うときに、SPC(特別目的会社)を使うことがあります。
たとえば、MBOの際には、まず役員などが出資して、SPCを設立します。
将来有望な会社であれば、VC(ベンチャーキャピタル)や、投資育成会社が出資してくれることもあります。
SPCは、承継対象会社(A社とします)の株式を購入することが目的です。
そのために、株式購入資金を銀行から借り入れます。
SPCは、資本金で集まったお金とこの借入金で、A社の株式を購入します。その結果、A社はSPCの100%子会社になります。
その上で、SPCとA社が合併します。
それによりできた新A社が、以前から持つ資金と今後の事業収益により、借入金を返済していくことができます。
要は、SPCは、承継対象会社(A社)の資金と事業を使って、株式購入資金の借入れを返済していくための役割を果たして消えていった、ということになります。
SPCには、そのような効用があるわけですね。これは、M&Aにおいてもそうです。
M&Aをする際に、SPCを設立して銀行借入れをし、その資金である会社(B社)を買収します。
その上で、SPCとB社が合併し新B社となることによって、旧B社の資金と事業収益を使って、銀行借入れを返済していくのです。
M&Aをした親会社は、SPCへ出資した資金だけで、買収を完了することができるわけですね。
万が一、その後うまくいかなくても、SPCへの出資金だけの損で済むわけです。
今後、中小企業でもM&A案件などがどんどん増えていく可能性がありますので、その際には、是非、SPCの活用なども考えてみるといいと思います。
編集後記
今週後半は山の日もあって、お盆休み兼夏休み連休にする方も多いかと思います。コロナも若干減少傾向が見えてきたような気もしますが、希望的観測でしょうか?(笑)
是非、楽しい夏休みにしていきたいですね。
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