実践!相続税対策
老人ホームに入居した場合の小規模宅地特例【実践!相続税対策】第563号
2022.10.12
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
親が老人ホームに入居した場合でも、親が住んでいた家の敷地は、一定の要件を満たせば、相続税の計算において、小規模宅地特例の適用を受けることができます。(330m2まで80%評価減ができる特例)
その一定の要件とは、主に次のようなものです。
1.被相続人が亡くなる直前において、要介護認定を受けていること
2.被相続人が老人福祉法等に規定する老人ホームに入居していること
3.被相続人が住んでいた建物を、老人ホームに入居後に事業の用に供さないこと(賃貸等しないこと)
4.同建物に、被相続人、被相続人と生計を一にする親族、老人ホーム入居直前に被相続人と生計を一にし、かつ、その建物に引き続き居住している被相続人の親族、以外の居住の用に供さないこと
4番目の要件は、ちょっとわかりにくいですが、要は、生計を一にする親族以外の人が居住すると、小規模宅地特例は受けられなくなる、ということです。
たとえば、父親の所有する自宅に、父親と母親が住んでおり、父親が老人ホームに入居したとします。
そうなると母親は1人になってしまい、高齢で不安もあるため、娘が同居するということはよくあるかと思います。
この場合、娘が別生計であると、上記4番目の要件に該当しないことになってしまいます。
そうなると小規模宅地特例の適用を受けられなくなってしまう可能性があります。
良かれと思って同居したために、相続税が高くなってしまうのでは、ちょっとやりきれませんね。
ただし、この場合には、もう1つの方法があります。
生計一親族が住む家の敷地については、小規模宅地特例を適用することができる、というものです。
すなわち、老人ホームに入った父親と、自宅に居住する母親が生計一であると認められれば、母親の住む自宅敷地は、小規模宅地特例を受けることができます。
生計一とは、お財布が一緒、ということです。
上記のような場合は、老人ホーム入居後も父親と母親の生活費に関わるお財布が一緒であるよう、気を付けておく必要がありますね。
思わぬ落とし穴にはまらないよう、老人ホームに入る際には、自宅をどうするか、などを考えておくことが重要です。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
自宅をどうするかを考えておく、とは書きましたが、なかなか税金のことまでは考えられないのが普通かと思います。
やはりこういう時は、是非、相談して欲しいと思います。
相続クラブでは、いつでもご相談を受け付けていますので、是非、ご活用ください。
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