実践!事業承継・自社株対策
創業者が株式をお金に換える方法【実践!事業承継・自社株対策】第122号
2022.10.21
Q 当社は、私が創業して30年の非上場会社です。そろそろ事業承継の準備を考えていますが、まだ誰に承継するか、子どもか社員かも決めていません。
できれば、引退時には自分の株式はお金に換えられればとも思っていますが、上場するわけではないので、どのような方法があるのでしょうか?
A 非上場のオーナー会社の場合、株式をお金に換えて事業承継していくのは、なかなか難しいかも知れません。
子どもに株式を承継する場合は、相続とか、生前贈与とか、あるいは事業承継税制を使った株式の承継を行うことが多いです。
この場合には、無償で株式を承継していきますので、お金が入ってくるわけではありません。
子どもに承継する場合でお金が入ってくるケースは、子どもらが持株会社を作り、その持株会社が銀行からお金を借りて、創業者の株式を買取るような場合です。
この場合には、それなりの価格で株式を買取らなければなりませんので、まとまったお金が入ってきます。
社員に株式を承継する場合は、株式を譲渡していくことになるかと思いますが、この場合には配当還元価格で譲渡することができます。
配当還元価格は、昔でいう額面金額程度となることが多いため、出資した額が戻ってくる程度にしかなりません。
株式を減らすことで相続税対策にはなりますが、あまりまとまったお金にはなりませんね。
社員に承継する場合でお金が入ってくるケースは、MBO(マネジメントバイアウト)などを行う場合です。
MBOは、社員らがSPC(特別目的会社)を作り、そのSPCが資金調達をして、創業者の株式を買取ることになります。
この場合も、それなりの価格で株式を買取ることになりますので、まとまったお金が入ってきます。
その他、考えられるのはM&Aということになります。会社を第三者に売却すれば、当然、株主にお金が入ってきます。
昨今、非常に多くなっています。
ただ、これは子や社内に承継者がいない場合、あるいは他社と連携することが会社や社員の将来のためになる、というようなケースに限られてくると思います。
お金だけのために簡単に踏み切れるものではありません。
やはり中小企業で多いのは、オーソドックスですが、株式は無償あるいは低い価格で承継し、創業者は役員退職金をできるだけ多くもらう、という方法です。
そのために、役員退職慰労金規程をしっかり作っておく、まとまった役員退職金が取れるように、月額報酬をきちんと取っておく、などに注意しておく必要があります。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
今日の話もとても多いように思います。
創業者は壮絶な苦労をして良い会社を作りあげてきたのに、最後は自社株をいかに後継者が引継ぎやすく承継していくかばかりが注目されて、創業者に報いようということが、後回しになっていることが多いですね。
創業者が主導するので、どうしてもそうなってしまうのかも知れませんが、後継者たちは、もっとそういうことも考えた方がいいと思いますね。
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