不動産 税金相談室
配偶者居住権と小規模宅地の特例【不動産・税金相談室】
2022.11.11
Q 先日、父が亡くなり、遺言書を確認したところ、自宅に配偶者居住権を設定しており、母に配偶者居住権を遺贈し、同居している長男に所有権部分を遺贈する内容でした。
自宅には母と長男が居住しているため、居住用の小規模宅地特例が使えると認識しておりますが、この場合の小規模宅地の特例適用については、どのように考えればよいのでしょうか。
A 配偶者居住権が設定されている場合でも、居住用の小規模宅地の特例は、要件を満たせば、適用することができます。
配偶者は、その土地を取得することで適用可能です。
長男は同居されていますので、申告期限まで居住し所有し続けることで、適用可能となります。
配偶者居住権が設定されている場合は、土地・建物ともに配偶者居住権部分と、居住建物の所有権部分と、2つの評価額を算出します。
それぞれを、配偶者と長男が取得することになります。
通常の評価額を算出した後に、居住建物の所有権部分の価額を算出。
それを控除した額が、配偶者居住権になります。
ですから、全体としての評価額は同じです。
居住建物の所有権部分の価額は、建物の構造や耐用年数、経過年数、また、配偶者の年齢などにより異なりますので、ここでは省略します。
土地も同じように、配偶者居住権に基づく敷地利用権と居住建物の敷地の用に供される土地の2つの評価額を算出します。
建物同様、全体の土地の評価額を算出した後に、上記2つの評価額に分けていきます。
小規模宅地の特例を適用する場合は、敷地面積の 330m2までが 80%評価減の対象となりますので、上記2つの評価額をもとに地積を按分します。
敷地全体が 330m2以下でしたら、配偶者居住権部分も居住建物の敷地部分のいずれも 80%評価減できます。
敷地全体が 330m2を超える場合は、限度面積330m2の範囲内で配偶者居住権部分と居住建物の敷地部分で選択する方法となります。
配偶者居住権が設定されている場合の建物や土地の評価は、建物の構造や利用状況、配偶者居住権の設定期間などによって、とても複雑です。実際の計算は、専門家に依頼することをお勧めします。
《担当:税理士 宮田 雅世》
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