実践!事業承継・自社株対策
事業承継税制か、相続時精算課税か?【実践!事業承継・自社株対策】第128号
2022.12.01
Q 当社は父親が代表取締役で、後継者の私が専務取締役でやっている会社です。
業績は好調で、来期以降さらに業績を伸ばせる見込みが立っています。
父親の持つ株式の評価額は約8,000万円で、代表交代、株式の承継をどのようにやっていくか考えているところです。
現在は2択で、事業承継税制か相続時精算課税贈与か、を考えています。どのように考えれば良いでしょうか?
A 株式評価額8,000万円くらいですと、ちょうどどちらにするか悩みどころかと思います。
特に今後も業績の拡大が見込めるのであれば、この時期に決断していくタイミングではないでしょうか?
お父様からの代表交代も近いというのであれば、代表取締役の退任による役員退職金の支給を考慮すると、株価はどうなるのか、試算してみることをお勧めします。
それにより株価が下がるのであれば、その後に株式を一気に贈与するタイミングかも知れません。
とりあえず株式評価額8,000万円として、相続時精算課税を使った場合は、贈与税は次のようになります。
(8,000万円-2,500万円)×20% = 1,100万円
株価が下がれば、上記税額よりも少なくなります。
この1,100万円の税額さえ支払ってしまえば、株式の承継は一気に終わってしまいます。
あとはお父様の相続時に、上記株式評価額を相続財産に加えて、相続税で精算するのみです。
その頃に、株式評価額が8,000万円の何倍にもなっているようであれば、正に相続時精算課税を選択して大正解だったと言えるでしょう。
もちろん、将来はわかりませんが、相続時精算課税で支払う1,100万円の税額をどう考えるかが、2択のポイントではないでしょうか?
高い、と考えるのであれば、種々の制約はありますが、事業承継税制を選択していくのが良いかと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
いよいよ12月ですね。12月は来年度の税制改正大綱が発表される時期です。
相続税と贈与税の一体課税なども改正の論点になっていますので、本日取り上げた相続時精算課税制度も何らかの改正が見込まれます。
税制改正大綱に是非、ご注目いただければと思います。
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