実践!相続税対策
生命保険契約の契約者を変更した場合【実践!相続税対策】第570号
2022.11.30
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
たとえば、父親が契約者で長男が被保険者である生命保険について、その契約者を長男に変更したとします。
父親が契約者であると、相続のときに相続税がかかってしまうため、契約者を息子にしておけば、相続税がかからないだろうと、やる方がいるようです。
契約者を変更した時点で、贈与税がかかるかというと、この時点では、贈与税はかかりません。
あくまで、契約上の地位の変更であり、財産的な価値は移転していないと考えるからです。
その後、父親が亡くなった際に、実は相続税がかかってきます。
契約者が長男であるため、一見、相続税申告には含めなくてよいと思うかも知れませんが、そうではありません。
途中で名義変更をしていますので、父親が負担していた保険料に対応する部分が、相続により長男に移ったものとされます。
具体的には、相続時点での解約返戻金のうち、父親が負担していた保険料に対応する金額が、「生命保険契約に関する権利」として、相続税の課税対象となります。
相続税の申告においては、非常に漏れやすいと思われますので、注意が必要です。
特に、平成30年1月1日以降に、契約者変更があった場合は、生命保険会社は税務署に「保険契約者等の異動に関する調書」を提出することになっています。
税務署はこれに目を光らせていますので、相続税申告で申告漏れがあると、すぐに指摘されることになります。
安易な契約者変更は、注意しなければいけませんね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
相続の調査では、やはり生命保険や預金などの金融資産をチェックすることが多いですね。
生命保険も誰が保険料を負担していたのか、被相続人だけでなく相続人の口座などもチェックしています。
家族で多くの保険に入っている場合などは、その負担関係など注意しておかなければいけませんね。
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