不動産 税金相談室
概算取得費と実際の取得費を併用できるか【不動産・税金相談室】
2023.02.24
Q 昨年、夫から相続した土地を売却して、本年譲渡所得の申告をします。
ただ、その土地の一部(A部分)は、夫も相続により取得したもので、いくらで取得したものかわかりません。
土地の残りの部分(B部分)は、夫が生前に購入したもので、取得価格はわかっております。
この場合、A部分については取得費が不明な場合の概算取得費5%を使い、B部分は実際の取得費で控除して構わないでしょうか?
A それで申告して構わないと考えます。
相続した土地を売却した場合、その譲渡所得の計算においては、被相続人(亡くなられた方)が取得した時期、取得価額を引き継ぐものとされています。
すなわち、その土地を相続した方が被相続人が取得した時から、引き続き所有していたものと考えます。
また、譲渡所得が課税される趣旨は、その資産の所有者の「その所有期間中における、その資産の価値の増加益」を清算し、課税することにある、とされています。
それを踏まえて考えると、A部分については、先々代の方が取得した時からの価値の増加益に課税。
B部分については、ご主人が取得した時からの価値の増加益に課税されることになります。
その意味で、A部分、B部分に分けて考える必要があり、それぞれいくらで取得したのかを把握することになります。
A部分については取得価額がわからないということであるため、概算取得費を使い、A部分の譲渡収入の5%を取得費とすることになります。
B部分については、実際の取得費を使います。
上記を計算するためには、A部分とB部分の譲渡収入を分ける必要がありますが、一括して譲渡していると思われますので地積の比で按分するのが合理的であると考えます。
ただし、各部分の道路付けや地形等で価格差があると考えられる場合は、他の合理的な方法で計算することも考えられます。
その点は、税理士にご相談いただくことをお勧めします。
《担当:税理士 北岡 修一》
メルマガ【実践!相続税対策】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0001306693.html