不動産 税金相談室
インボイス制度と不動産所得 【不動産・税金相談室】
2023.03.24
Q 私は、居住用アパート10室と、駐車場を3台分賃貸しています。
最近、賃貸仲介業者さんからインボイス番号の確認の通知を受けました。
インボイス制度はなんとなく耳にしていますが、まだインボイス制度の登録をしていません。登録していないとどうなるのでしょうか。
A インボイス制度は、令和5年10月から始まる消費税に関する制度です。
消費税は、ざっくり言いますと、2年前の課税売上が 1,000万円超の事業者であれば、納税義務があります。
そして、お客様に物をなどを販売し、預かった消費税から、仕入や経費などを支払う際に払った消費税を控除した差額を、国に納付する必要があります。
これは、物の販売だけでなく、事務所の賃貸や駐車場の賃貸をする場合の収入も消費税の対象となります。
ただし、住宅の賃貸は、住宅が生活に必須のものであるため、政策的配慮から消費税は課されません。
そして、この度、インボイス制度が導入されることにより、ご相談者様が消費税の納税義務者ではなく、インボイス制度の登録をしない場合は、事業者である借主さんが、今まで通りご相談者様に駐車場代を支払っても、消費税控除ができなくなります。
これにより、借主さんの消費税負担が結果として大きくなることから、ご相談者様が今までと同様、免税事業者であれば借主さんから賃料値下げの交渉がなされる可能性があります。
そうなると、今まで例えば駐車場料金として22,000円もらっていた部分が消費税部分の2,000円がもらえず、20,000円の収入となってしまうことが考えられます。
このため、ご相談者様は下記などを確認し対応を決めていく必要があります。
●借主さんが消費税を納めるような事業者か?
●事業者であった場合、値引交渉がされるのか?どのくらいの値引きが想定されるか?
●値引きされないためにインボイス制度の登録をしたら、消費税をいくら納付する必要があるか?
たとえば、貸している駐車場の全ての借主さんが事業者ではなく、家庭用の車を駐車している場合などは、借主さんにとって駐車場代は経費になるものではないため、当然、消費税を控除するということ自体がありえませんので、価格交渉にはならないものと考えます。
そうすると、今までどおり免税のままである方が有利となります。
このほか、判断には様々な検討が必要なものと考えます。
このため、ご判断が難しい際は、顧問税理士などにご相談いただくことが一番かと思います。
《担当:税理士 青木 智美》
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