不動産 税金相談室
抵当権が設定されている相続財産 【不動産・税金相談室】
2023.04.14
Q 相続する不動産には抵当権が設定されていますが、この抵当権は借入金などと同様に、相続税の債務控除をすることはできるのでしょうか。
A 抵当権が設定されている不動産を相続する場合であっても、相続時点では債務として確定されているものではありませんから、債務控除をすることはできず、また、その不動産の評価額を減額することもできません。
将来的に抵当権を行使されるリスクがあるにもかかわらず、相続税の計算上控除や減額を行うことはできませんから、その不動産の相続にあたっては注意が必要です。
抵当権が設定されているケースとして、亡くなった方本人(被相続人)の住宅ローンの抵当権や、ご家族の借入金に対する担保提供などがあります。
被相続人の住宅ローンであれば、加入している団信などで債務が解消して、速やかに抵当権が解除されるケースが多いですから、その場合はあまり心配はいらないでしょう。
ただし、もし被相続人が担保に見合わない多額の借入をしているのであれば、相続放棄も考慮しておく必要がありますね。
また、ご家族の借入であったり、被相続人など親族が経営している会社の借入であったりするケースもありますが、この場合は相続により取得する方が、その借入にどの程度関わっているのかを確認しておくことが大切です。
あなたが相続した不動産が、他の相続人(家族)や、その相続人が関わっている会社の借入のために担保提供されているのであれば、自分に非がない状況にもかかわらず、その不動産にかかる抵当権行使を受けてしまう可能性があるためです。
抵当権に関係する相続人がその不動産を取得して、他の相続人はそれ以外の財産を取得するなど、バランスよく相続できるか検討されてみてはいかがでしょうか。
もちろん、債務に関係のない相続人が同居されている場合などでは、バランスよく相続することが難しいケースもあります。
他の遺産で債務の返済が可能かどうか、あるいは他の遺産に抵当権を設定して現在の不動産からは抵当権を解除できるかどうか、など抵当権の解除に向けての検討もしてみましょう。
今回のご質問では、結果的に相続発生後に検討することになりますが、本来であれば、生前にこれらの問題に取り組んでおいた方が効果的です。
同様の状況にある方がいらっしゃれば、生前から、抵当権の設定された不動産について、その対策をお考えいただきたいと思います。
《担当:税理士 樋口 智勇》
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