実践!事業承継・自社株対策
私の会社の株式はこんなに高い?【実践!事業承継・自社株対策】第151号
2023.06.01
Q 私はイベント業の会社を営んでおります。
私は、元々アルバイトとして働き始め、前代表に目をかけていただき、今では代表として日々精進しております。株式も45%譲っていただきました。
ただ、その前代表が先日亡くなり、株式(55%分)をお子さんが相続されました。
お子さんは、特に事業に関与しているわけではないため、この55%の株式の買取りの話が出ております。
お子さんの話によると、相続税申告書では、20万円×1,000株=2億円で評価し、申告したとのことでした。
上場しているわけでもないのに、価格がこんなに高額になるのでしょうか?
また、お子さん側の税理士も、この価格でないと譲渡できないといっていますが本当ですか。
A あくまでも税法上の考え方になりますが、上場をしていなくても、相続税申告上は、一定の評価方法に基づき評価する必要があります。
ただ、こちらの価格は、会社にある財産総額よりかは安くなる傾向にはあります。
土地など所有されていなければ、ご自身の会社の貸借対照表の純資産合計を、発行済株式数で除した価格よりかは、低いのではないでしょうか。
上場していない株式は、価格が付けづらいため、評価額が時価よりも高くならないよう(評価の安全性)になっています。
とはいえ、本来は価格は自由に決定できるものです。
お子さん側の税理士が言いたいことは、おそらく、
『1株20万円以下の価格で取引をしてもいいですが、その分差額は、贈与税の対象となる。』
ということでしょう。
たとえば、10万円でお子さんから譲渡を受けた場合、(20万円-10万円)×1,000株=1億円となり、贈与税の考え方では、1億円分安く購入でき、得したことになります。
その上で、得した部分に次の贈与税がかかります。
(1億円-110万円)×55%-400万円=50,395,000円
贈与税こそかなり高くなりますが、2億円で買い取ることを考えたら、支払総額は安いとも言えます。
(1億円+贈与税約5千万円=1.5億円)
それでも納税するよりも、お世話になった前代表のお子さんにお金を渡したい、などの思いや、相手の納得感により、金額は変わるでしょう。
株式の承継は、中小企業にとってかなり難しい課題です。
お互いが納得できる状況に加え、納税をどうするかまで、慎重に検討する必要があります。
《担当:税理士 青木 智美》
編集後記
そろそろ梅雨入りの時期でしょうか。
この時期になると、そろそろ路線価の発表かぁと思います。今年は、7月3日に発表になるようですね。
コロナが明け始め、海外旅行者がかなり増えているように見受けられます。
土地にはどのような影響があるのでしょうか。
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