実践!相続税対策
マンションの相続税評価の見直し2【実践!相続税対策】第598号
2023.06.14
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
マンション、特にタワーマンションの市場価格と相続税評価額の乖離が大きくなっているため、その見直しが現在行われています。
そのための第1回有識者会議の状況については、本年3月8日(第584号)のメルマガで書かせていただきました。
その第2回目の有識者会議が、先ごろ6月1日に行われました。
まずは、その乖離の実態を把握した上で、乖離が大きくなる要因について、分析が行われています。
建物の評価は、固定資産税評価額により評価していますが、市場価格は建物の総階数やマンション一室の所在階も考慮されている。
また、評価額への築年数の反映が不十分だと、評価額が市場価格に比べて低くなるケースがあるのでは、ないかということです。
これらをまとめて、建物の効用の反映は十分ではない、とみています。
また土地(敷地利用権)については、共有持分で按分した面積に、平米単価(路線価)を乗じて評価されています。
この面積は一般的に高層マンションほどより細分化され狭小となるため、このように敷地持分が狭小なケースは立地条件の良好な場所でも、評価額が市場価格に比べて低くなるのではないか、ということです。
すなわち、立地条件の反映は十分ではない、とみています。
次に、この乖離を是正するための評価方法の検討が行われています。
いくつかの方法が検討されていますが、結論としては、
現行の相続税評価額を前提とした上で、市場価格との乖離要因(説明変数)から乖離率を予測し、その乖離率を現行の相続税評価額に乗じて評価する方法
が良いのではとされています。
その上で、平成30年中の全都道府県の中古マンションの取引2,478件をサンプルとして、統計的手法による検証を行っています。
結果としては、上記の乖離率が大きくなる要因を裏付けるものとなっています。
すなわち、
マンションは、より高層(より高い容積率)となるにつれ、同程度の専有面積のマンション一室でも、その一室に当たる敷地利用権の面積が狭くなる結果、路線価の水準に表されている立地条件が、評価額に反映されづらくなり、市場価格との乖離要因の一つとなっている。
路線価は、高層マンションの評価にはそぐわない、ということですね。
最後に見直しの方向性が述べられています。
・統計的分析に基づいて、必要な補正を行う方向で検討する。
・補正の程度について、一戸建てとのバランスについても考慮する。
・マンション評価の見直し後において、マンションの市場価格が急落した場合の対応については、他の財産におけるこれまでの取扱いも踏まえた検討が必要。
以上、今後も検討が続けられていくと思われますが、まとまれば、パブリックコメントなども経て、通達の改正ですから、意外と早く行われるかも知れませんね。
とは言え、年後半以降かとは思いますが。
国税庁HPに資料が載っていますので、ご興味ある方は次をご覧ください。
→ https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023005-051.pdf
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
上記の最後にマンション価格が下落した場合のことも書かれていますが、昨今の状況も考えると時期によっては価格が下がってしまうことも考えられますね。評価の見直しがちょっと遅きに失してる気もします。
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